TOP > 事業計画 / Last update: 2009.5.17

以下に掲載の事業計画案等は、2009年5月31日開催予定の本会評議員会で審議されます。

本ページには、『図書館界』61巻1号(2009.5)掲載の日本図書館研究会決算・予算・事業計画関連文書のうち、事業計画(案)と各役員による説明・呼びかけ文を掲載しています。決算・予算表等は省略していますので『界』と合わせてご覧ください。

事業計画(案) / 理事長 / 事務局長 / 編集委員会 / 研究委員会 / ブロックセミナー担当


2009年度事業計画(案)

日本図書館研究会理事会

〈研究活動〉
1.『図書館界』第61巻1〜6号の編集・発行
2.第51回研究大会,図書館学セミナー,研究例会,特別研究例会の開催
3.ブロックセミナーの開催
4.上海市図書館学会との学術交流、論文の相互掲載
〈研究の奨励と会の拡大に関わる活動〉
5.障害者会員への『図書館界』の点訳化
6.図書館研究奨励賞の授与
7.国際交流の推進
8.会員・研究グループの研究活動の助成
9,留学生への『図書館界』の無料頒布
10.会員および購読者の拡大
11. ホームページの維持と改良
〈その他〉
12.その他本会の目的にそった事業

2009年度事業計画等の提案にあたって

理事長 川崎良孝

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 この10年ほどのあいだに図書館に関わる法制度の改正が相次ぎました。学校図書館法改正(1997年),図書館法改正(1999年),子ども読書活動推進法制定(2001年),地方自治法改正による指定管理者制度の創設(2003年),国公立大学の法人化(2004年),教育基本法改正(2006年),学校教育関係法改正(2007年),社会教育法,図書館法改正(2008年)などです。こうした改正は制度の根幹に関わる性格の改変といえるでしょう。こうした動きを受けて,本会では『界』での特集,大会やセミナーで法制度,およびそれに関わる現場の問題を幅広く重点的に取りあげてきました。

 そうした動きのまとめもかねて,2008年度には『界』特集「構造的転換期にある図書館の法制度と政策」を企画しました。これは図書館の法制度,政策をめぐる動向に焦点を当て,構造的転換の動態と内実を分析し,図書館がいま直面し,あるいは今後直面すると考えられる理論的,実践的な課題を明らかにすることを目的としていました。そして5回にわたり14本の論文を掲載することができました。実践的姿勢が強い論文が多く,かつ具体的な提言まで踏み込んでいる論文もあり,さらに中国,韓国,シンガポールといった国での施策も含めることで,図書館を考えるに際して大いに参考になることを願っています。

 今年度は『界』350号(2010年1月号)で,大きな特集を組みます。日図研は50号ごとに,その期間の図書館・図書館研究の動きを,基本的に文献レビューという形で行ってきました。この特集はその時期の全般的な動きや重要事項を知るのに重要な基礎的文献になると考えています。今回はほぼ21世紀初頭の図書館・図書館界の動きを扱うことになります。250頁に近い特集になると思いますが,ご期待ください。

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 2008年度決算,2009年度予算をごらんいただくとわかりますが,日図研の会財政が非常に悪化してきています。決算が明らかになった時点で,事務局長,編集委員長,研究委員長などを中心に,短期間ですが,手をつけられる具体的対処を考え,それを予算案に反映しています。個々の具体的な説明は事務局長の予算提案をごらんいただき,会員の皆さんのご理解と,いっそうの御支援をお願いしたいと思っています。

 基本的な方針としては,会員の減少を食い止めるとともに広告などの獲得に努める(収入の維持および増大),『界』印刷費,理事会などの費用,原稿料などを見直す(支出の削減),および時機に適した良質の図書などの出版を行う(特別会計の収入の増大)などを考えています。一方,会員全体に直接関わる部分,すなわち会費,『界』の頁数,ブロックセミナー,研究大会,図書館学セミナーなどは手をつけないという方針を取りたいと思っています。当然とはいえ,単年度の収入で,単年度の支出をまかなえるという方向に向けて,最善を尽くすつもりです。

 以下に収めた事務局長および各委員長,担当からの提案説明,抱負と事業計画,予算案などの内容をご検討いただき,5月31日開催の評議員会(本会の実質的な最高議決機関)の審議に向けて,会員の皆さんが多くのご意見,ご提言をお寄せくださるよう期待しています。お寄せいただいたご意見は当日の討議資料として活用させていただきます。

 塩見昇先生は,今期も理事候補に推薦されましたが辞退されました。先生は評議員を1969〜70年度の2年間,理事を1971〜2008年度までの38年間,計40年間にわたり役員を務められました。その間,研究委員長(1975〜78年度),事務局長(1985〜1994年度),理事長(1995〜2006年度)と,まさに日図研を背負ってこられました。先生の期待に沿う日図研の運営を心がけたいと思っています。

(かわさき よしたか 京都大学)


事業計画・予算案の提案説明

事務局長 西村一夫

1.2008年度決算

 2008年度決算ですが,一般会計は会員数が減っており,繰越金も400万円になりました。特別会計は収入見込みより売上げが少なかったため,繰越金が減少しています。以下,予算と大きく違っている項目を中心に説明します。

 一般会計の「収入」では,「会費」が予算よりも約19万円少なくなっています。個人会員の会費収入は予算より多くなっていますが,団体会員の会費納入が予算より約50件少ないことによります。『図書館界』の売上げはほぼ予算通りとなりました。広告料は予算の約半分ですが,一部の入金が年度をまたがったためで次年度の収入に計上します。一方,「支出」では,「研究調査費」は例年すこし余裕を持って組んでいます。「研究助成費」については,ブロックセミナー1件および研究大会などの経費です。ブロックセミナーは年間2件程度を想定して予算を組んでいます。「組織強化費」は未執行となりました。会員増を図るための活動の強化が必要です。「印刷費」は封筒などをまとめて印刷したために予算を超えました。「国際交流費」は特段の事業がなかったことにより,未執行となっています。「事務局費」は事務局員の引き継ぎのためとコンピュータの買い替えのために執行額が増えました。

 特別会計ですが,『図書館資料の目録と分類』は100万の予算にたいして130万でした。増訂第4版が完成しましたので2009年度はさらにたくさん売れるのではと予想しています。また,『本をどう選ぶか』,『新・大学生と図書館』,『子どもの読書環境と図書館』はいずれも低調でした。『図書館の発展を求めて』は販売委託先からの入金を予定しておりましたが,入金が一部にとどまりました。次年度には確実に入金されるようにすすめます。一方,支出の方ですが,『図書館資料の目録と分類』増訂第4版を作製しましたので,それにかかる「編集費」「印刷費」を執行しました。「印刷費」は販売予想を見越して多く印刷しましたので予算より23万円オーバーになりました。また,「上海市図書館学会との交流」では,大阪で開かれた第6回国際図書館学セミナーの費用を支出しました。全体として繰越は昨年より70万円少なくなりました。

 第2特別会計,いわゆる「図書館研究奨励賞基金」は,奨励賞副賞10万円を執行し,次年度への繰り越しは1,130万円となりました。

 このように財政面では一般会計が年々厳しい状況になっています。例年のことですが,個人会員数を減らさないことと,団体会員の継続が大事だと考えています。個人会員,団体会員の入会に向けて,会員の皆さんのご協力を,あらためてお願いしたいと思います。

2.2009年度事業計画案

 ここに提案する事業計画・予算案の審議と承認は評議員会(5月31日開催)の役割ですが,会員の皆さんの声を反映させたいと思いますので,本誌綴込のハガキや電子メール(アドレス:nittoken@ray.ocn.ne.jp @は半角で)等で事前に事務局まで,ぜひご意見をお寄せください。

 「研究活動」では,『図書館界』の年6回刊行,研究大会,図書館学セミナー,ブロックセミナー,研究例会があります。ブロックセミナーは全国各地域で開催することを目指しております。昨年度は九州で行いました。年度内に2ヶ所程度は開催可能ですので,いままでに開催していない地域の評議員,会員のみなさまのお申し出をお待ちします。今年度は国際図書館学セミナーがありませんので,図書館学セミナーを秋に開催する予定です。「研究の奨励と会の拡大に関わる活動」では,「留学生への『図書館界』の無料頒布」が9年目に入ります。これは,図書館研究の奨励と国際交流の一環として,日本で図書館情報学を学ぶ留学生に,1年間を単位にして『図書館界』を寄贈し,図書館研究や図書館の理解に役立ててもらうという趣旨です。詳しくは59ページを参照して下さい。

3.2009年度予算案

 一般会計予算案については,会費収入を昨年より少なく計上しています。もちろん新規の入会と継続して会に参加していただくことが大事ですので,この予算を上回ることを目指しています。広告料は昨年度未収のものがありますので増えています。また,今年度は初めて特別会計からの繰入金を計上しました。会員減による収入が減っていることと『図書館界』61巻5号で特別号として増ページが予定されていることもあり,今回繰入れをしました。これからの活動の見直しも含めて十分な検討が必要です。

 支出については,昨年度の実績を基にしながらもできるだけ節約できるものは再検討して計上しています。「研究助成費」が増えていますが,今年度は図書館学セミナーが行われますのでそのための予算を計上しています。「雑誌刊行費」が増額となっていますが,これは『図書館界』61巻5号で350号記念特集「図書館・図書館学の発展 ― 21世紀初頭の図書館」(仮題)を予定しており,200ページ程度増えることによるものです。

 「特別会計」の収入の方では,『図書館資料の目録と分類』を昨年より20万円多くして120万円にしました。また,『新・大学生と図書館』や『子どもの読書環境と図書館』などはそれぞれ昨年より少なく見積もりました。『図書館の発展を求めて』は80万円を計上し,販売委託先から売り上げを確実に回収いたします。一方,支出の方では,出版物の作成の可能性を含んで,「印刷費」などを計上しました。さらに,一般会計への繰出し金を計上しています。

4.事務局との連絡など

 財政を支えるのは会員皆さまの力です。引き続き会費の前納,会員拡大,資料販売等に皆さまのいっそうのご協力と積極的なご発言をお願いします。

 なお,事務局は毎週月・木曜日,午後1〜5時に事務局員が常駐しておりますので,連絡はその時間帯にお願いします。ただし緊急の場合以外はなるべく文書,ファックス,電子メールでご連絡ください。

(にしむら かずお 三郷町立図書館)


図書館の発展と『図書館界』の充実を目指して

編集委員長 松井純子

 『図書館界』の編集という重要な役目を担うようになって,いよいよ3期(5年)目に入ります。会員の皆さまのニーズに応えられているか,図書館界全体の活性化につながるような誌面づくりができているか,常に悩みながらの4年間でしたが,今年度も『界』というメディアの意義を感じていただけるよう,引き続き努力していきたいと思います。

(1)『界』60巻記念企画「構造的転換期にある図書館の法制度と政策」の連載を終えて

 60巻1号〜6号(2号を除く)に5回にわたって14本の論文を掲載した本企画も,無事終了しました。日本の図書館界が大きな転換期に置かれている今,その把握すべき状況や課題を,法律・制度・政策という根本から分析し論じようというのが,この連載の主旨でした。教育基本法・図書館法改正問題からスタートし,指定管理者制度や委託,職員の雇用,大学の法人化,図書館評価,子どもの読書,学術情報政策などのさまざまな問題を指摘し,今後の図書館のあり方を訴えかけてきた連載だったと思います。この連載のまとめを,『界』61巻3号(2009年9月号)に掲載する予定です。皆さまからのご意見・ご感想もお待ちしています。

(2)『界』350号記念特集号を発行します

 『界』は,61巻5号(2010年1月号)をもって,通巻350号を迎えます。これを記念して,「図書館・図書館学の発展 ― 21世紀初頭の図書館」(仮題)と題する特集号を刊行することになりました。この特集号は,本誌がこれまで50号ごと,つまり8年半に1度の間隔で行ってきた特集のあり方を継承し(前回300号は53巻3号(2001年9月)),文献レビューという手法によって,2000年以降の図書館界の動向や図書館学の発展を整理して一定の評価を行うというものです。全体として約30本の論文を掲載し,200〜250ページでの刊行を予定しています。ご期待下さい。

(3)『界』の基本は,投稿論文と《現場からの提言》です。

 『界』は,学術雑誌としての性格と,現場の実践を重視した現場に資する活動や研究の発表の場としての2つの側面を備えています。学術論文としての投稿,《現場からの提言》への投稿,いずれも会員の皆さまの研究や実践の成果を,積極的にお寄せいただくことを期待するものです。本号p.64でもお知らせしていますが,昨年度の「図書館奨励賞」受賞論文は,《現場からの提言》から選ばれました。このように,現場の図書館員の工夫や問題意識が評価されるというのも,日図研ならではと言えます。

 また,《書評・新刊紹介》では,さまざまな図書を積極的に取り上げていきます。投稿も受け付けていますので,「この本の書評(新刊紹介)を書きたい」という方は,本会アドレスへメールでお寄せ下さい。

(4)『図書館界』60巻1号〜6号についてご報告

  60巻記念企画「構造的転換期…」の14本の連載のほかに,以下の記事を掲載しました。依頼原稿が多かったため,投稿論文と《現場からの提言》がやや手薄になりましたが,全体としては,59巻の総ページ数392ページから,60巻では462ページに及ぶ増ページとなりました。刊行にご協力いただいた執筆者の皆さまに,心から御礼申し上げます。

 投稿論文5,現場からの提言1,第49回研究大会グループ研究発表6,同シンポジウム6(討議含む),国際図書館学セミナー「全域サービス」9(討議含む),「石井桃子さん」1,書評11,新刊紹介12,エコー3,ほか

 なお,会員数の減少に伴い,『界』発行にかかる費用の見直しを迫られています。この点,会員の皆さまのご支援・ご協力をお願いいたします。

(まつい じゅんこ 大阪芸術大学)


研究大会50年を超え,着実な研究活動へ

研究委員長 志保田務

 研究委員会は,下記の事業を行います。

(1)研究大会・図書館学セミナー

 去る2月,第50回記念研究大会を開催しました。酒井忠志名誉会員の講話,理事会での伊藤監事などの言に示唆を得て「研究の本来」に戻り,発進します。

 本年度の研究大会は,2010年2月下旬を目処に京都方面で開催予定です。初日は個人・グループの研究発表です。個人発表の募集要項は,本誌61巻3号(9月)に示します。2名程度と限度がありますが,奮ってご応募下さい。研究グループへは9月中にメールで連絡しますが,近年,発表申込のレジュメや予稿集原稿がない,遅れるという現実があります。叫ばれる「発表持ち時間厳守」に応えるためにも,早めに発表内容を固め,実演予行した決定稿をご提出願います。2日目はシンポジウムです。テーマをご提案下さると幸いです。大会次第は,61巻4号(11月号)に予告されます。

 時宜に応じて,図書館学セミナーを11月初旬か中旬の2日間,大阪を会場に開きます。本巻2号(7月)に予告,3号(9月)に次第を公示します。本件でもテーマ,講師につきご提案を期待します。

 研究大会・セミナーの会場(費)に窮しています。会員のご所属大学等で,無料(更に援助金給付)の会場提供の可能性があればご協力下さい。

年度 09年度 10年度 11年度
研究大会 京都 大阪 兵庫
セミナー 大阪 兵庫  

(2)研究例会・特別研究例会

 研究例会は,日常的な研究発表の場です。本研究会HP上の担当研究委員にお申し出下さい。月1回弱開催し,発表内容を本誌に記録します。なお研究グループは,上記・研究大会での発表義務がありますが,研究例会での発表で,この義務を果たすことができます。

 特別研究例会は,5月31日(日)評議員会前の午前中に京大会館で開催。塩見昇氏が「図書館法の60年と現代」を語られます。本号p.15をご参照下さい。

(3)グループ研究への助成

 固有のテーマをもって研究活動をし,研究大会に研究発表するグループ(7名以上の会員で構成)に対して,原則年3万円を助成しています。各グループからの研究計画の提出を受けて本委員会で審査し,理事会承認を得て,2009年度に始まる2年間の助成計画を展開します。ただ別掲のような財政不良で,増額申請をそのまま承ることができる状況にありません。ご理解をお願いする運びとなります。なお,助成申請の期間(本誌各偶数巻(奇数年)5号で公示)が厳守されない現状です。関係記事をHP上に常掲載し,問い合わせ先(担当理事)を決定します。

 当委員会は6理事とも十余人の精鋭委員を擁し,次期世代交代をも目途に,重要任務に邁進します。

(しほた つとむ 桃山学院大学)


ブロックセミナーの企画をお待ちしています

ブロックセミナー担当 竹島昭雄、高木享子

 ブロックセミナーは,各ブロックの会員からの申し出によって開催されます。申し出のあった会員の意向(開催地・テーマ・講師など)は最大限に尊重します。また,経費は原則として全額を日本図書館研究会が負担します。

 本会の諸研究活動は,京阪神を中心に開催される場合がほとんどであるため,ブロックセミナーは会員の最も身近なセミナーとなります。
 皆さんからの積極的な企画をお待ちしています。なお,連絡先は下記のとおりです。(→ 連絡先等)。

(たけしま あきお 栗東市立図書館)
(たかぎ きょうこ 箕面市立豊川南小学校)


過去の事業計画等