TOP > 事業計画 / Last update: 2006.6.16
以下に掲載の事業計画案等は、2006年5月28日開催の本会評議員会で承認されました。
本ページには、『図書館界』58巻1号(2006.5)掲載の日本図書館研究会決算・予算・事業計画関連文書のうち、事業計画(案)と各役員による説明・呼びかけ文を掲載しています。決算・予算表等は省略していますので『界』と合わせてご覧ください。
本会の2006年度の事業計画等を以下のとおり提案いたします。
この一年,図書館をめぐる状況は,公立図書館の指定管理者制度導入や委託の広がり,大学図書館における派遣職員の増大,国立国会図書館への独立法人化の提起など,管理運営の多様化が目立っている。そこでは図書館事業の公共性,専門性が深く問われている。その一方で,西船橋図書館における蔵書破棄事件の審判で,最高裁がこれまでにない踏みこんだ判断を公立図書館の役割,司書の責務について示し,図書館への期待を広げている。それに応える責任が図書館には求められている。
ICタグの実用化など図書館技術における革新も急であり,それらを図書館サービスの拡充に活かし,図書館が人々の暮らしや学びにおいて果たし得る役割,イメージを豊かに展開していくことが重要である。
「2007年問題」といった表現で喧伝される,いわゆる団塊世代が第一線を退く時期を迎えており,このことは図書館現場の構成だけでなく,図書館関係諸団体・組織の会員構成にも大きな課題を提起している。
こうした情勢の下で,1946年秋の結成から60年を迎えた本会の研究活動も,一層の進展への大きな節目を迎えている。図書館員一人ひとりが現場でいい仕事に力を尽くすことは当然であるが,その経験や課題を持ち寄り,協同の思索や研鑽で質を高め,実践に活かす努力を一段と強めていくことが重要である。日本において最も歴史が古く,規模の大きな図書館研究団体としての本会の責任を自覚し,活動の充実に力を注いでいきたい。
会員の皆さんには,職場の同僚やとりわけ若い図書館員,図書館について学ぼうとする人々を仲間に誘っていただき,研究会の活性化に格別のお力添えをいただきたい。
以下に掲げる事務局長及び各委員長等の提案説明,抱負と事業計画,予算案等の内容をご検討いただき,5月28日に予定している評議員会(本会の実質的な最高議決機関)の審議に向けて,会員の皆さんからのご意見,ご提言を多数寄せてくださることを強く希望いたします。お寄せいただいたご意見等は,当日の討議資料として活用させていただきます。
2005年度決算ですが,一般会計は会員数の減と『図書館界』の売上げの減少が収入に響いています。また,特別会計もやや苦しくなっています。以下,予算と大きく違っている項目を中心に説明します。
一般会計の収入では,「会費」が予算よりも約88万円下回っています。団体会員は予算より約15万円,個人会員は約73万円少ないという状態です。これは『図書館界』3月号の発行が発行日(3月1日)を約10日遅れたことによる減収と,会員が少し減ったことによります。さらに,『図書館界』の売上げが予算より約16万円減少しています。一方,支出では,「会合費」,「研究助成費」,「印刷費」などは例年すこし余裕を持って組んでいます。「雑誌刊行費」については,昨年は予算を38万円上回りましたが,今年度は予算より105万円も上回りました。2005年度は「《誌上討論》現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」,「シリーズ・子どもの読書環境を考える」など,編集委員会主導の企画が充実したことにより,予算を上回る結果となりました。一方,「研究助成費」については,ブロックセミナーが2件あり,ほぼ想定した範囲での執行となりました。ただ,開催場所が西に偏っており,中部地区以東での開催が期待されます。「国際交流費」は国際図書館学セミナー準備のための経費です。「組織強化費」については,昨年度に入会パンフレットを,今年度は『図書館界』の見本誌を作成し,研究大会やセミナー等で会員の勧誘に使いました。「事務局費」では,団体会員への請求書の作成などで省力化と効率化に取り組んだことにより,予算より約12万円の減となりました。
特別会計ですが,『大学生と図書館』は15万円の予算にたいして,26万円とほぼ予想どおりでした。『図書館資料の目録と分類(増訂第3版)』は150万の予算にたいして235万と順調でした。参考までに昨年の決算では165万円でした。なお『子どもの読書環境を考える』(『子どもの読書環境と図書館』に改題)を刊行することができませんでした。一方,支出の方ですが,予算では『子どもの読書環境…』の印刷費も組んでいましたが,2006年度に持ち越すことになり,『図書館資料の目録と分類(増訂第3版)』と『新・大学生と図書館』の作成費になりました。また,「上海市図書館学会との交流」では第4回国際図書館学セミナー(於:京都)の費用として80万円の支出となりました。予算より30万円多くなっており,予算見積もりと必要経費の再検討が今後必要です。全体として繰越は昨年より100万円少なくなって1,800万円になり,今後,出版物の販売をよりいっそう進める必要があります。
第2特別会計,いわゆる「図書館研究奨励賞基金」は,奨励賞の対象論文がなく,繰越,寄付,利子を合わせて1,140万円を持ち越すことになりました。
このように財政面では厳しい状況になりつつあります。2007年問題と言われる年に近づくにつれ,さらにこうした状況が進むと思われます。個人会員数を減らさないことと,団体会員の継続が大事だと考えています。着実に個人会員数を伸ばすには,毎年80名の入会者が必要です。個人会員,団体会員の入会に向けて,会員の皆さんのご協力を,あらためてお願いしたいと思います。
ここに提案する事業計画・予算案の審議と承認は評議員会(5月28日開催)の役割ですが,会員の皆さんの声を反映させたいと思いますので,本誌綴じ込みのハガキ等で事前に事務局まで,ぜひご意見をお寄せください。電子メールでもよろしいです(アドレス:CZS04500@nifty.ne.jp)。
「研究活動」では,『界』の年6回刊行,研究大会,図書館学セミナー,ブロックセミナー,研究例会,愛知研究例会があります。昨年度は国際図書館学セミナーが開かれましたので,研究委員会による図書館学セミナーは開催しませんでしたが,今年度は秋に予定しております。また,ブロックセミナーは全国各地域で開催することを目指しております。年度内に2ヵ所程度は開催可能ですので,いままでに開催していない地域の評議員,会員の皆さまのお申し出をお待ちします。
「出版活動」では,『子どもの読書環境と図書館』の本年度前半の刊行にむけて,現在進行中です。また,「塩見昇先生の古稀を祝う事業会」から申し出がありました『塩見昇論文集』(仮題)の刊行(2月5日開催の理事会で承認)も予定しています。 「研究の奨励と会の拡大に関わる活動」では,「留学生への『図書館界』の無料頒布」が6年目に入ります。これは,図書館研究の奨励と国際交流の一環として,日本で図書館情報学を学ぶ留学生に,1年間を単位にして『図書館界』を寄贈し,図書館研究や図書館の理解に役立ててもらうという趣旨です。詳しくは52ページを参照して下さい。
一般会計予算案については,会費収入を見直しています。もちろん新規の入会と継続して会に参加していただくことが大事ですので,この予算を上回ることを目指しています。広告料も定期的にいただいていたところが無くなりましたので,減額していますが,新規に開拓できるように広告主を探したいと思っています。また,単年度でみると赤字の予算になっており,今後,繰越金が減少していくことを見越して予算の立て方を検証する時期にきています。
支出については,2005年度の実績を基に検討して計上しています。「研究助成費」は前年度75万円ですが,今年度は研究委員会担当の図書館学セミナーを開催しますので90万円にしています。「雑誌刊行費」は2004,2005年度と続いて予算を超えていますので,今年度は各号60頁(計360頁)を基本にしました。それに120頁を用意し,総480頁としました。これは研究大会を扱う7月号が,例年厚くなることを考慮しての措置です。なおこの120頁には,表紙,総索引,研究大会案内など,すべてを含み,例年80頁ほどになります。また,各費目とも決算状況にあわせて見直しをしました。
特別会計の収入の方では,『図書館資料の目録と分類』を昨年と同様150万円計上しました。『新・大学生と図書館』に50万円,『子どもの読書環境と図書館』に40万円,そして『塩見昇論文集』(仮題)は60万円を計上しました。
一方,支出の方では,「印刷費」として350万円を計上しました。これは,上記2冊の本『子どもの読書環境と図書館』と『塩見昇論文集』(仮題)の印刷を見込んだものです。さらに,今年度は2年ごとに実施する役員選挙の年ですので,「役員選挙費」として60万円を用意しました。
財政を支えるのは会員皆さまの力です。引き続き会費の前納,会員拡大,資料販売等に皆さまのいっそうのご協力と積極的なご発言をお願いいたします。なお,事務局は毎週月・木曜日,午後1〜5時にスタッフ(塩見富江)が常駐しておりますので,連絡はその時間帯にお願いします。ただし緊急の場合以外はなるべく文書,ファックス,電子メールでご連絡ください。
編集委員長を引き継いでようやく1年が経ちました。けれども,以前にもまして雑誌編集の難しさを痛感する今日この頃です。
日図研は,多様な館種の現場におられる図書館員と,図書館情報学および関連分野の研究者や教員,そして市民の立場から図書館に積極的に関わっていこうとする方々など,さまざまな属性と多様なニーズを持つ約1,000名の会員で構成されています。そのような会員一人一人のニーズを大切にしながら,『図書館界』をできるだけ多くの会員にとって意義のある雑誌にしたいと考えています。
研究委員会では,会員間の研究成果の発表・交流・学習等の場として次の4事業を担当いたします。
ブロックセミナーは,会員のだれもが企画をすることができます。図書館学セミナー・研究大会・研究例会は近畿地区で開かれることが多いので,ほかの地区にお住まいの方にとっては,ブロックセミナーが最も身近なセミナーになります。
テーマ・講師・日時などについては,できるだけご希望にそうようにします。内容が豊かでタイムリーなセミナーが各地で企画されることを期待しています。担当者へ気軽にご相談ください(→ 連絡先等)。