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本ページは2005年度のものです。

2005年5月29日の評議員会で事業計画(案)等が承認されました。

本ページには、『図書館界』57巻1号(2005.5)掲載の日本図書館研究会決算・予算・事業計画関連文書のうち、事業計画(案)と各役員による説明・呼びかけ文を掲載しています。決算・予算表等は省略していますので『界』と合わせてご覧ください。

事業計画(案) / 理事長 / 事務局長 / 編集委員会 / 研究委員会 / ブロックセミナー担当


2005年度事業計画(案)

日本図書館研究会理事会

〈研究活動〉
1.『図書館界』第57巻1〜6号の編集・発行
2.第47回研究大会,研究例会,特別研究例会の開催
3.ブロック・セミナーの開催
4.上海市図書館学会との学術交流:第4回国際図書館学セミナー(於:京都),論文の相互掲載
〈出版活動〉
5.『新・大学生と図書館』の刊行
6.『子どもの読書環境を考える』(仮題)の刊行
7.『図書館資料の目録と分類』の改訂版の刊行
〈研究の奨励と会の拡大に関わる活動〉
8.障害者会員への『界』の点訳化
9.図書館研究奨励賞の授与
10.国際交流の推進
11.会員の研究活動の助成
12,留学生への『図書館界』の無料頒布
13.会員および購読者の拡大
14.ホームページの維持と改良
〈その他〉
15.その他本会の目的にそった事業

2005年度事業計画等の提案にあたって

理事長 塩見昇

 本会2005年度の事業計画等を以下の通り提案いたします。

 国・自治体を挙げての行財政の構造的な改革が歯止めなく進行し,図書館の設置や管理・運営に大きな変化を迫っている。公立図書館における指定管理者制度の導入が,あたかも既定の路線であるかのような前提で「検討」される状況が強まっている。法人化や少子化対応に躍起の大学経営の下での図書館経営にも財政的な厳しさ,図書館の位置づけにおける変化が伝えられる。

 学習到達度の国際比較で日本の子どもの学力低下が話題になると文部科学省は早々に「ゆとり教育」の見直しを示唆し,文教政策の基調が揺れている。ここしばらく続いた学校図書館への「追い風」もよほど様変わりを免れまい。そうした厳しい客観情勢の中で,図書館のあり方とこれからの展望が求められている。

 昨年秋以来の「現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」の誌上討論,一昨年度からの「子ども読書環境を考える」議論は,そうした社会の動きに振り回されることなく,図書館のあるべき姿と当面する課題に積極的に向き合っていこうという本会事業の基本的な方向を示す一端である。論議への会員各位の一層の積極的な参加を呼びかけたい。

 定例化している上海図書館学会との学術交流は,本年は中国側を日本に迎える年になっており,2006年に迫る韓国でのIFLA大会のことも視野において,国際セミナーの充実を期したい。

 近年,どの館種においても職員構成の多様化・流動化の傾向が強く,正規職員・若い司書の減少,新規採用の手控えが顕著で,それが図書館員の組織における会員減を招く事態が憂慮されており,本会の場合も例外ではない。こういう厳しい時期こそ,図書館員は職能団体,研究組織に参加し,図書館事業のこれからを拓く活動に力を寄せ合っていただきたいと思う。職場の同僚,若い図書館員等に本会への入会をぜひ勧誘いただきたい。

 以下に収めた事務局長及び各委員長からの提案説明,抱負と事業計画,予算案等の内容をご検討いただき,5月29日に予定している評議員会(本会の実質的な最高議決機関)の審議に向けて,会員の皆さんからのご意見,ご提言を多数お寄せくださることを希望いたします。お寄せいただいたご意見等は,当日の討議資料として活用させていただきます。


事業計画・予算案の提案説明

事務局長 西村一夫

1.2004年度決算

 2004年度決算は一般会計,特別会計ともに,ほぼ順調に推移しています。以下,予算と大きく違っている項目を中心に説明します。

 一般会計の「収入」では,「会費」が予算よりも約40万円下回っています。団体会員は予算より約7万円多く,個人会員が約50万円少ないという状態です。これは『界』3月号の発行が発行日(3月1日)を約10日遅れたことによる減収で,特別に会員が減少したということではありません。その他の項目は,ほぼ例年どおりです。一方,「支出」では,「会合費」,「研究調査費」,「研究助成費」,「印刷費」などは例年すこし余裕を持って組んでいます。「雑誌刊行費」については,昨年は予算を45万円(『界』40頁分)下回り,日図研の最も重要な媒体でもあることから,評議員会からもいっそうの努力を要請されました。2004年度は「子どもの読書環境」,「公立図書館のあり方」について,編集委員会主導の企画が充実したこともあり,予算を約40万円上回る結果となりました。一方,「研究助成費」については,ブロック・セミナーが1件だったこともあり,予算が十分に執行されたといえない状態でした。「国際交流費」に15,000円の出費がありますが,これはIFLAソウル大会の役員が来阪され,意見の交換をしたときの経費です。「組織強化費」約5万円は入会パンフレットの基本的レイアウトはそのままに,内容を新しくするのに使いました。「事務局費」については2003年度決算までは約220万円で推移していましたが,家賃の安い部屋(間取り広さは同じ)に移ったため,今回の決算で初めて約170万円と移転の効果が数字として出てきました。なお,現在事務局では団体会員への請求書の作成など,いっそうの省力化と効率化に取り組んでおり,来年度にはその効果も数字としてでてくるはずです。

 特別会計ですが,『大学生と図書館』は50万円の予算にたいして,40万円とほぼ予想どおりでした。『図書館資料の目録と分類』は150万の予算にたいして210万と順調でした。参考までに昨年度の決算では165万円でした。なお日本図書館協会に委託販売をしている『図書館・図書館学の発展』は一度増し刷り(計800冊作成)しましたが,順調で在庫はほとんどない状態です。一方,支出の方ですが,予算では『大学生と図書館』にかわる新刊のための予算230万円をとっていましたが,この新刊は2005年度に持ち越すことになり,86万円の支出は『図書館資料の目録と分類(第3版)』3,000冊の作成費になりました。それに隔年「役員選挙費」に約50万円,第3回国際セミナー(於:上海)の派遣費用(3名分)を中心に50万円の支出でした。全体として繰越は昨年より40万円多くなり,約1,900万円になっています。

 第2特別会計,いわゆる「図書館研究奨励賞基金」は,奨励賞の対象論文がなく,繰越,寄付,利子を合わせて1,140万円を持ち越すことになりました。

 このように財政面ではほぼ順調で,今後の会の事業,運営に有効に活用していきたいと考えています。ただし会員数についてはかなり厳しくなってきました。個人会員数は1,000名を維持できるかどうかという状態です。一方,団体会員の退会が増えており,事務局としては懸念しています。着実に個人会員数を伸ばすには,毎年80名の入会者が必要です。個人会員,団体会員の入会に向けて,会員の皆さんのご協力を,あらためてお願いしたいと思います。

2.2005年度事業計画案

 ここに提案する事業計画・予算案の審議と承認は評議員会(5月29日開催)の役割ですが,会員の皆さんの声を反映させたいと思いますので,本誌挿入のハガキ等で事前に事務局まで,ぜひご意見をお寄せください。電子メールでもよろしいです(アドレス:CZS04500@nifty.ne.jp)。

 「研究活動」では,『界』の年6回刊行,研究大会,ブロック・セミナー,研究例会,愛知研究例会,それに上海市図書館学会との学術交流があります。上海市図書館学会との図書館学セミナーは第4回を迎え,本年は秋に京都で開かれます。今年度は国際図書館学セミナーとし,例年の研究委員会による図書館学セミナーはお休みになります。「出版活動」では,『新・大学生と図書館』の本年度前半の刊行にむけて,現在進行中です。また編集委員会によるシリーズ「子どもの読書環境を考える」,また2004年度の図書館学セミナー「再び子どもの読書環境を考える」を受けて,1冊のまとまった本にします。「研究の奨励と会の拡大に関わる活動」では,「留学生への『図書館界』の無料頒布」が5年目に入ります。これは,図書館研究の奨励と国際交流の一環として,日本で図書館情報学を学ぶ留学生に,1年間を単位にして『図書館界』を寄贈し,図書館研究や図書館の理解に役立ててもらうという趣旨です。詳しくは56ページを参照して下さい。なお「ホームページの維持と改良」については,体制を立て直して一新し,最新情報を登載していくとともに,従来の欠落部分も埋めていくという作業がほぼ完了しました。今後も改良を続けたいと考えています。

3.2005年度予算案

 一般会計予算案については,昨年度とほとんど同じです。1点だけ変化しているのは,支出の「研究助成費」75万円のところです。従来は90万でしたが,研究委員会担当の図書館学セミナーを今年は開催しないということで,セミナーのための費用15万円を削減しました。「雑誌刊行費」は昨年どおりですが,各号50頁(計300頁)を基本にしています。それに120頁を用意し,総420頁としました。これは研究大会を扱う7月号が,例年厚くなることを考慮しての措置です。なおこの120頁には,表紙,総索引,研究大会案内など,すべてを指し,例年80頁ほどになります。

 「特別会計」の収入の方では,『大学生と図書館』を15万円に下げました。一方,それを引き継ぐ形で刊行予定の『新・大学生と図書館』に40万円,さらに『子どもの読書環境を考える』に40万円を計上しました。一方,支出の方では,「印刷費」が400万円と大きいですが,これは上記の2冊の本と『図書館資料の目録と分類』の増刷(改訂)を見込んだものです。なお「上海市図書館学会との交流費」は,例年通り,50万円を用意しました。

4.事務局との連絡など

 財政的には順調といえますが,引き続き会費の前納,会員拡大,資料販売等に皆さまのいっそうのご協力と積極的なご発言をお願いいたします。なお,事務局は毎週月・木曜日,午後1〜5時にスタッフ(塩見富江)が常駐しておりますので,連絡はその時間帯にお願いします。ただし緊急の場合以外はなるべく文書,ファックス,電子メールでご連絡ください。


会員にとって意義ある誌面づくりを

編集委員長 松井純子

 日図研は,公共図書館・大学図書館・学校図書館・専門図書館など各館種の図書館員と,図書館情報学その他の教員・研究者,市民の立場から図書館に関わられている方など,さまざまな会員がおられます。『図書館界』は,そのような会員のみなさまの多様なニーズをふまえ,会員の方々に意義ある誌面づくりを心がけていきます。

 会員にとって意義ある誌面というのは決して一様ではありません。しかし,学術的な意義を備えた研究論文の発表はもちろん,現場のすぐれた実践と理論の報告,現場や利用者に関する実態調査,さらには図書館界をめぐるさまざまなことがらへの疑問・批判およびその考察と提言などの記事をお届けする中で,その意義を感じていただければと思います。

 編集委員会の今年度の課題は,次の3点です。

『子どもの読書環境を考える』(仮題)の刊行
これまで『図書館界』に掲載された「子どもの読書環境を考える」シリーズに,新たな論文や関連資料を追加して,1冊にまとめるものです。
誌上討論「現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」の継続
2度の誌上討論を経て明らかになったことの整理,または新たな論点の指摘・検証などを行います。
「現場からの提言」
本号(57巻1号)より「現場からの提言」を開設しました。これは,現場からの視点に立った実践報告や提言をまとめていただくものです。論文では書きづらい,という現場のみなさまの声にこたえました。
 最後に『図書館界』はあくまでも会員のみなさまの投稿原稿によってつくられます。論文,現場への提言,エコーなどの積極的な投稿をお願いします。


研究活動のすすめ

研究委員長 寒川登

 研究委員会では会員間の研究成果の発表・交流等の場として次の事業をおこなっています。

第47回研究大会の開催(2006.2〜3頃の予定)
大会は2日間の日程でおこないます。初日は個人研究発表とグループ研究発表,2日目に特定テーマのシンポジウムを開催するという構成になります。個人研究発表の募集は例年秋口におこないます。ご希望の方はご応募ください。また,シンポジウムはその時々の重要なテーマをとりあげ,論議する場として設定しています。
例会の開催
例会は,大会開催月,8月をのぞき,例年8回前後を開催しています。日常的な研究成果の発表の場等として提供しています。発表ご希望の方はご連絡ください。また,例会は界誌上やHPで案内していますのでお気軽にご参加ください。
グループ研究活動への助成
助成の要件は,会員7名以上で構成し,テーマをもって研究活動を実施,その成果報告をおこなう,というものです。これらの計画について研究委員会の審査を経て理事会で承認を得たグループに年額3万円(事業内容によっては増額も可能)の助成をおこなっています。現在は10グループに助成をおこなっています。新たなグループ結成等につきましては研究委員会にご相談ください。
 このほか,例年開催してきました「図書館学セミナー」は,今年度は「国際図書館学セミナー」として開催されます。

 こうした活動をおこなっていきますのでご参加いただきますようお願いいたします。


あなたの企画をお待ちしています

ブロックセミナー担当 山本昭和、竹島昭雄

 ブロックセミナーは,会員のだれもが企画することができます。テーマ・講師・日時などについては,できるだけご希望にそうようにします。セミナーに要する経費は,日本図書館研究会で負担します。

 図書館学セミナー・研究大会・研究例会は近畿地区で開かれることが多いので,ほかの地区にお住まいの方にとっては,ブロックセミナーが最も身近なセミナーになります。

 タイムリーで内容の豊かなセミナーが各地でたくさん企画されることを期待しています。担当者へ気軽にご相談ください(→ 連絡先等)。