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学校図書館研究グループの歴史

日図研50年史から

私たちの「学校図書館研究グループ」が実際に定例会を開き,組織的,計画的に動き始めたのは1990年になってからです。それ以前に「学校図書館研究グループ」として活動しておられた方々とは源を異にしており,新しいメンバーで発足しました。

私たちの流れは,もともと学校司書を中心にした既成のグループが,その活動を日図研の場で発表することから始まっています。それらは,第22回研究大会(1981)に「学校図書館のはたらきを創造する実践に取りくんで」を発表した岡山市学校図書館問題研究会(宇原,落,永井),第23回研究大会(1982)「白書づくりから学んだこと」岡山市職労学校図書館白書編集委員会(宇原,落,永井,永島),第24回研究大会(1983)「学校司書の身分確立に向けて−兵庫県のあゆみ−」全県学校司書交流会実行委員会(坂田,土居),第26回研究大会(1985)「学校図書館の機能と司書の役割を考える−岡山県下の学校図書館調査より−」学校図書館を考えるつどい実行委員会(疋田),第27回研究大会(1986)「学校図書館の貸出しをめぐる人と蔵書と予算の関係−兵庫県学校図書館白書より−」兵庫県学校司書の会白書作成委員会(坂田,佐藤,土居,中島,二宮),第28回研究大会(1987)「学校図書館でブック・トークを追求して」岡山市学校図書館問題研究会(鹿野)ですが,それぞれのグループが日図研の大会で発表するについては,塩見氏の指導に負うところ大でした。学校図書館現場の活動や実態がほとんど知られていなかった当時の図書館界において,これらの発表は学校図書館に関心を寄せ理解を深める上で,大きな役割を果たしたといえるでしょう。

私自身は第24回大会での発表を契機に日図研に入会,研究委員会の末席にも加えていただきました。
第31回研究大会(1990)に,はじめて「学校図書館研究グループ」として「学校図書館における予約制度の実態」をアンケート調査をもとに発表(宇原,落,土居)しましたが,岡山と兵庫のメンバーでは定期的な活動には至りませんでした。

その後,近畿圏の学校図書館関係者によびかけて1990年の3月に改めて「学校図書館研究グループ」を結成(村田代表),研究テーマを<学校図書館と公共図書館との連携を考える>に決めて,隔月に例会を行うようになりました。当時のメンバーは河野,北村,斉藤,塩見,谷嶋,土居,村田。学校司書も教師も大学教授も文庫の人もいるという多様さで,ユニークな学習会が重ねられました。
1991年には日本図書館協会の「日本の図書館1991附帯調査」としてアンケートを実施,1992年3月まではその項目づくりに始まって集計と分析,報告書作成に追われました。データ入力のために何日もコンピュータに向かった夏休み,中には夏休みを返上したり,子ども同伴で参加してその子にもしっかり仕事をさせた人もいます。第33回研究大会(1992.2)でその中間報告を発表(谷嶋,村田),最終的には3月に日図協から『公共図書館と学校(図書館)との連携 調査報告書』を発行しました。押し詰まった日程の中で週に何度も集まり,ときには泊り込みで討議・分析・まとめに力をつくしました。
アンケートした項目の一つひとつについて考察を続け,よりよい連携のあり方を探る一方で,折から箕面市の小学校に学校司書が配置されはじめたのをうけて,教師の学校図書館への意識調査を実施(箕面市・枚方市),第35回研究大会(1994)に「教育活動における教師の学校図書館利用」として発表(木村,北村,藤戸)しました。
よりよい連携のあり方の模索として,公立図書館訪問(見学)の調査をし,第36回研究大会で「小・中学生の公立図書館訪問(見学)の実態をみる−近畿の公立図書館アンケート調査−」として発表(久保田,谷嶋)したのは1992年度から教科書に公共図書館についての学習教材が現れ,学校(学級)単位での図書館訪問が増加した現象に注目したためです。グループには公共図書館の人も加わり,例会も毎月行うようになりました。

今は,学校司書の有無・学校図書館の活動状況・公立図書館のサービスのあり方などに注目しながら,公立図書館から学校(図書館)への貸出に焦点を当てた調査をしようとしています。
今後も多様な立場の人と共に,学校図書館の充実をめざして,多角的に研究を続けたいと思います。

(土居 陽子 『図書館界』48巻4号pp.245-246より)