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奉仕研究グループの歴史

日図研50年史から

「奉仕研究グループ」は、1958年1月11日の理事会において、大阪地区研究グループを奉仕関係の研究グループに改組する件が了承され、誕生した。同年2月22日午後2時から大阪市立児童文化会館において結成のための会合が持たれた。
その時の討議事項は、(a)名称、(b)会合の適当な日時・場所、(c)研究テーマ、(d)グループの運営について、(e)その他となっている。ここで決定されたのは、グループの名称を「奉仕技術研究グループ」、会合は月1回、会場は持ち回りで土曜日の午後に開催する、当面の研究テーマは「開架制とレファレンス」ということで、両分野固有の問題および両者の関連を研究することになった。これらを踏まえて1958年3月29日に大阪市立児童文化会館で第2回例会が持たれた。大阪地区だけでなく京都府立、和歌山県立、西宮市立の各図書館からの参加もあり、19名が参加している。

その後、おおむね月1回の割合で研究例会を持ち、第16回例会(1959.12.19)まで活動を続けていたことは確かである。会場は大阪市立児童文化会館・大阪市立・泉大津市立・堺市立図書館等が当てられ、大阪学芸大学(現大阪教育大学)図書館も使われており、参加者の顔ぶれは公共図書館の職員が中心であった。例会参加者は5−19名であった。
研究テーマは「文学関係索引の作成」「マスコミと図書館」「図書館調査の方法」等が上げられている。また、新聞社等の見学会も実施している。それ以降『界』の誌面に報告が掲載されていないところを見ると活動を休止していたものと思われる。

グループの研究活動を再開したのは、1971年12月からである。名称も「図書館奉仕研究グループ」と改め、再発足している。1972年10月まで毎月第2土曜日の午後例会を開催し、レファレンス理論の検討を続けた。8回の例会では、Bishop、Rothstein、Wyerの論文を取り上げ、各論文の主要な問題点を討議している。その成果を第14回研究大会(1972.11.19−20、岡山市立図書館)で西屋千洋氏が発表している。テーマは「レファレンス理論の比較研究−図書館活動とレファレンス・サービス理念−」というものであった。その後9−12回までの例会案内がでているが、『界』の誌面からは姿を消している。再び活動を休止したものと思われる。しかし第18回研究大会からは、毎年コンスタントに研究発表を行っており、グループ活動が定着してきたといえる。

研究テーマを振り返って見ると、初期のころは「レファレンス・サービス」「開架図書の問題」「文学関係索引の作成」さらに「図書館調査の方法」といった実務的なものが中心であったが、1971年に活動を再開したときは「レファレンス理論の研究」と理論面の研究が中心になった。グループ活動が定着した第18回研究大会以降第36回大会まで のテーマを列挙すれば次のようになる。「戦後公共図書館の思想的発展」「大学図書館の資料構成について」「大学図書館における図書館奉仕と運用規程」「学問史と図書館の接点をもとめて」「図書館奉仕の観点からみた最近の“日本図書コード”論議」「地域における異館種間相互協力問題の一検討」「望まれる図書館学教育は」「大学生の卒論作成における図書館利用」「メディアの多様化と図書館サービス−マネージメントの問題点」「図書館奉仕はどのように教えられているか(1)−(3)」「図書館学教育科目としての『利用者教育』−その設置の必要性と教授要目試案」「図書館奉仕と『図書館活動論』−実態と大学教育をめぐって」「短期大学図書館活動の理論的試み」「ネットワーク時代と大学図書館等の公開」「図書館多重ネットワーク時代の現状と展望」「参考業務演習テキストの検討」「『参考業務演習』教育の検討−担当教員へのアンケート調査をもとに」。

グループのメンバーも初期の公共図書館職員中心から、大学図書館職員および教員が中心になって現在に至っている。

(西田文男 『図書館界』48巻4号pp.239-240より)