TOP > 大会・研究会等 > 研究例会 > 2013年度 > / Update: 2014.5.1
昨年度新設の資料保存研究グループからの発表。セミナー資料,委員会資料など,良好な保存が危惧される図書館関係資源の整理・保管に関し検討した。
今般は,日本図書館協会『図書館員の倫理綱領』,シソーラス化された『基本件名標目表(BSH)第4版』などの委員長,『中小レポート』実地調査委員などとして,戦後日本の館界を牽引した石塚栄二氏の所蔵資料を対象に,同氏直々の解説とともに検討した。会合後,米寿を迎えられる石塚氏を囲み,近場で懇親会を開催し旧交を深めた。
石塚氏の引用が顕著な大庭一郎の「石塚栄二先生文献目録」の作成経過について説明した。石塚氏宅にて戦前・戦後の図書館関係の所蔵資料調査及びインタビューを行い,今回の発表及び保存すべき資料の選別を行ったことについて説明した。
1949年 文部省図書館職員養成所入学(第一期生) 1950年 図書館養成所卒業(舟木重彦,弥吉光長,加藤宗厚等に学ぶ) 1950年 和歌山県立図書館に就職 1951年 日本図書館研究会大阪地区研究グループに参加(世話人:木寺清一大阪府立司書部長) 1952年 和歌山研究グループ発足 1956年 目録排列法研究グループ 1957年 整理技術研究グループ 1960年 『中小レポート』図書館実地調査に参加 1961年 大阪市立中央図書館に転職(新館建設準備室),11月同館開館(西藤寿太郎館長,森耕一課長,上田格,塩見昇,拝田顕,西田文男) 1979−1986年 日本図書館協会評議員,理事,図書館の自由委員会及び件名標目委員会委員長 1976年 大阪市立中央退職,帝塚山大学助教授就任 1998年 帝塚山大学(教授)退職
『中小レポート』企画担当の前川恒雄の推薦により,実地調査委員として,和歌山県立図書館在職中に高砂市立図書館の調査を行った。 『倫理綱領』,「図書館の自由に関する宣言」の1979年改訂作業においては,中心的な存在として積極的に活動した。「宣言」において,‘図書館は’と「図書館」を主語にした経過を説明された。図書館の自由に関する論文が多くあり,その功績は大きい。また,図書館職員問題でも活動を行った。
日本図書館研究会において,1956年目録排列法研究グループ,1957年整理技術研究グループを発起。天王寺公園内の旧大阪市立図書館で会合を開き,西藤寿太郎,横井時重を知る。1955年頃から整理技術研究グループ内で目録論に取り組んだ。南諭造,横井時重に刺激を受けて高橋泰四郎(NDL)の論文「著者主記入論覚書」に反論し,森耕一,井上裕雄,藤田善一と記述独立論に関する論文を著した。 BSHでは1962年,初版(1956年発行,委員長:山下栄)の改訂作業から委員となり,第2版(1971),第3版(1983)まで委員を続けた。第4版(1999)では委員長を務め,シソーラス構造を導入し刊行した。
蔵書は帝塚山大学図書館,同志社大学に寄贈。そのほか残された所蔵資料のなかには,林靖一(NDL)の著作などがある。こうした先達のすぐれた資料の保存が課題であり,当研究グループの目的でもある。
(報告:中村恵信 神戸松蔭女子学院大学)