日本図書館研究会研究例会(第267回)報告
- 日時:
- 2009年12月5日(土))15:00〜17:00
- 会場:
- 大阪市立弁天町市民学習センター
- 発表者 :
- 寺澤裕子氏(岐阜・図書館の未来を考える会)
- テーマ :
- 私たちが望む図書館−岐阜県図書館民営化問題に関わって−
- 参加者:
- 8名
はじめに
岐阜県図書館の指定管理者制度導入に歯止めを掛けた市民活動の実践について,「岐阜・図書館の未来を考える会」(以下,「未来を考える会」)の寺澤氏にご報告いただいた。報告者の寺澤氏は元大学図書館員であり,退職後も岐阜県内の図書館での勤務を経験されている。「未来を考える会」は,現在も岐阜県内の図書館振興に市民の立場から活発な活動を続けている。
今回の発表では,岐阜県図書館の民営化の動きを知ったことをきっかけに,スピーディに仲間を集め,知事や議員,行政,図書館など各方面への働きかけを進めると同時に提言を積極的に行なったことが,知事や県に対し,市民が図書館に強い関心を寄せていることを印象づける事となり,それが成果につながった点が注目された。
図書館は利用者が育てると言うが,やはりそこには図書館が持つ社会的役割やその機能を十分理解し,より質の高い図書館サービスを求める市民の存在が不可欠であることを感じる。同時に,市民が望む図書館を行政に伝える難しさ,行政側の図書館に対する知識・理解不足,市民への説明責任の欠如等,共に協働するためには双方のコミュニケーションのあり方が課題である印象を受けた。その両者を繋げるのは,図書館に対する知識・経験と熱意と信念を持った市民であり,図書館員であろうと思う。
配布資料「図書館友の会全国連絡会の「私たちの図書館宣言」を読むと,両者が互いに学びあい,成長し,市民が望む図書館を築いていく活動が,1人1人の市民の中に図書館が根ざす社会を創ることにつながることを感じさせてくれる。
(文責:川崎千加 大阪女学院大学・短期大学)
報告内容(当日レジュメから)
1.岐阜県図書館民営化の動きと「図書館の未来を考える会」の活動(配布資料(1))
1−1 岐阜県図書館指定管理者制度導入をめぐる動き
- (1)新聞報道(配布資料(2))
- (2)図書館協議会,議会の動き(配布資料(3))
- 2008年8月6日 平成20年度第1回岐阜県図書館協議会
- 9月10日 第2回岐阜県図書館協議会
- 9月 県議会:県教育長,総務部長答弁
- 12月 県議会:知事答弁
- (3)2008年12月 知事(候補者)公開質問状及び回答(配布資料(4))
1−2 この間の私たちの活動
1−3 導入が遠ざかった理由
- 住民が関わった
- 対応が早かった
- いくつかの方面から動きがあった
- 県行政の力の弱さ?知事の見識?
2.岐阜県図書館の課題と現在の活動
2−1 岐阜県図書館の課題
- 県立図書館の役割が明確にされてこなかった
- 市町村図書館とのネットワークの弱さ
- 利用者との接点の弱さ]
2−2 今,私たちが取り組んでいること
- (1)岐阜県図書館(長)との会談(平成20年度2回、平成21年度6回)
- (2)県財政についての学習(県議とのロビー活動)
- (3)行政に向けて声を届ける(『私たちの図書館宣言』広報活動もあわせて)
- (4)図書館見学(津島市(愛知県)図書館,滋賀県立図書館,能登川町(滋賀県)図書館等の見学)
- (5)図書館関係集会・研究会参加・発表
- (6)図書館友の会全国連絡会加盟と「私たちの図書館宣言」広報活動
3.私たちの望む図書館〜開かれた図書館をめざして
3−1 他地域の活動から学ぶもの
- 滋賀県図書館を訪問して
- 「静岡市の図書館をよくする会」(静岡図書館友の会に発展)の活動・姿勢
3−2 今後の取り組み
- 岐阜県の図書館政策・方針作成への働きかけ
- 図書館協議会への働きかけ
3−3 私たちの望む図書館をめざして
- よりよい図書館づくりをすすめるための提案(行政のかたに,図書館職員のかたに,利用者・住民に)
- 私たちの望む図書館=『私たちの図書館宣言』(配付資料(5))