TOP > 大会・研究会等 > 研究例会 > 2006年度 > / Update: 2007.1.17
大会テーマは“Libraries:Dynamic Engines for the Knowledge and Information Society”。韓国・ソウルにて,8月20日から24日の日程で開催。参加者数は大会本部からの発表はまだだが,展示関係者も入れておよそ5000人。開会セレモニーの基調講演は金大中・前大統領。発表セッションは215件。ポスターセッションは85件,うち日本からは7件。最終日に発表されたポスターセッション最優秀賞は「台北におけるホームレスの公共図書館利用」。そのほか,ゲイツ財団による「学習へのアクセス」賞が発表され,NPOのREAD Nepalが受賞した。閉会式では2009年度の大会開催地ミラノが発表された。(2007年度・ダーバン 2008年度・ケベック)
開会セレモニーでの大会歌「Guiding Our Dreams」に感動されたとのことで,セレモニーのスライドとともに大会歌を聞かせてくれた。また,大会の魅力として,セレモニーやレセプションの様子,オプションの図書館見学や町の様子も数多くのスライドで紹介された。資料保存の分科会では諸外国の例が興味深く,Library History,マーケティングや知識管理の分科会も学ぶところが多かった。図書館見学は,延世大学のツアーに参加されたとのことであった。
金大中・前大統領の基調講演「知識と情報の時代に大切なもの」に感銘したと,その要約を紹介された。分科会は,図書館建築,児童サービスの分科会に参加されたとのこと。国立子ども図書館の見学に行き,読み聞かせの様子を実際に見せてもらい,その後の茶話会で韓国の子どもたちと交流されたそうである。中浪区立図書館の見学では,カルチャーセンターのような活動に力を入れていることに驚いたということである。
また,今大会では事前に予稿がネットで公開されていたこともあってか,会場での紙資料がほとんどなく,予習が必要であったことを痛感されたそうである。
国際交流基金では,1990年から司書日本語研修を実施しており,1997年からの関西国際センターでの研修生のなかの韓国からの研修生の同窓会を,ソウル大会に併せて行うことになった。そして,この研修OBたちの多くが,大会の会場受付,ライブラリーツアー,図書館ブースなどでの日本語通訳ボランティアとして活躍されていたそうである。
印象に残った分科会は,「Libraries for Children and Young Adults with Reading」「資料保存部会」「Library History」「Public Libraries with Audiovisual and Multimedia」「Library Services to Multicultural Populations」,ポスターセッションは,日本の「むすびめの会」の「The Development of Multicultural Library Services in Japan」とアルゼンチンの「Bibliocasilla(Mobile Library)」。発表の仕方が様々で,印象深かったとのことである。
図書館見学は,韓国国立中央図書館と韓国国立国会図書館,そして,国際交流基金ソウル日本文化センター図書館に行かれた。
プレカンファレンスから参加され,10日間近くも在韓されたとのこと。プレカンファレンスの「国際目録規則に関する専門家会合」は,「国際目録規則」の策定を目指し,2003年から各大陸ごとに開催されている。今回はアジア各国の目録関係者を集めて,約50名の参加があった。基本記入など,国によって事情が違い,議論が交わされた。
参加されたセッションは,資料組織系の「書誌調整部会」傘下の分科会と主に学術図書館系の分科会。やはり事前のホームページ予稿によっての予習が必要なことを感じられたとのことである。
図書館見学は,淑明女子大学の図書館に行かれ,席取りシステムなど学習室としての働きがクローズアップされていたそうである。
報告後,フロアから韓国の図書館制度についてなど質問があった。大規模な大会で,全体像の把握が難しく,各々参加された範囲の部分的な報告となったが,たくさんのスライドによって大会の雰囲気,毎夜のレセプションパーティー,韓国図書館の様子の一端を見せてもらった。また,個人的に見学した施設や観光地,韓国でのカルチャーショックや,街中での失敗談など,楽しいエピソードも聞かせてもらった。
〈参考〉ソウル大会サイト http://www.ifla.org/IV/ifla72/index.htm
(記録文責:狩野ゆき 灘中学校灘高等学校)