日本図書館研究会評議員会報告
- とき
- 2012年5月27日(日)13:30〜16:30
- ところ
- 相愛大学
- 議題
- 1) 2011年度事業報告
2) 2011年度決算報告
3) 2011年度監査報告
4) 2012年度事業計画案
5) 2012年度予算案
- 議長
- 川崎千加(大阪女学院大学・短期大学)
審議の概要
川崎理事長の挨拶の後,議長に川崎千加氏を選出して審議を行った。その概要は以下のとおり。
0)評議員の繰り上げ当選報告(事務局長)
1) 2011年度事業報告(事務局長)
会員の動態は,入会(個人39名,団体3件),退会(個人49名,団体12件)である。2011年度末の会員数は802名で,前年同期より10名の減となった。主な活動として,『図書館界』第63巻の発行,第53回研究大会および第8回国際図書館学セミナー,四国ブロックセミナーの実施などである。
2)2011年度決算報告,および3)2011年度監査報告(いずれも『図書館界』64巻1号参照)を提案
決算報告は事務局長,監査報告は伊藤監事が報告。
質疑と意見
*(評)は評議員,(理)は理事を指す
- (評)研究大会や図書館学セミナーの参加費は予算書のどこにでてくるのか?
- (評)CiNiiのアクセス収入はどれくらいか?
- (理)本決算では2010年12月から2011年3月までに利用されたもののみで5,000円程度。
- (評)CiNii使用料は1件あたりどれくらいか?
- (理)会員は無料,非会員は500円が研究会の収入となり,他はNIIへ。
- (評)「印刷機」を購入しているが,どんな印刷機か?
- (理)コピーもできる複合機を購入した。
- (評)業者扱いの定期購読は増えているのか? 昨年度との比較ではどうか?
- (理)29件ほど増えている。
【決算・会計監査報告等】
- (評)『図書館の発展を求めて』の販売冊数が5冊とあるが,決算額は15万円超となっている。
- (理)教育史料出版会委託販売分の全部が入ると60万円入るが,現状では15万円ほどしか入っていない。5冊とあるのは日図研独自の販売分。
- (評)その本はそんなに売れているのか。
- (理)ほぼ売れたがお金が入ってきていない状態。売れた分を予算として見込んでいる。
*2010年度事業報告,2010年度決算報告および監査報告を全員の賛成で承認。
4) 2012年度事業計画案
2012年度事業計画案(『図書館界』64巻1号参照)を事務局長が説明
5) 2012年度予算案
2012年度一般会計予算案,同特別会計予算案,同第2特別会計予算案(『図書館界』64巻1号参照)を事務局長が説明。
質疑と意見
*(評)は評議員,(理)は理事を指す
- (評)研究大会シンポジウム,図書館学セミナーの内容が決まっていれば教えてほしい。
- (理)図書館学セミナーは11月が恒例だが,国立国会図書館の十周年にあたり,国民のための図書館としての働きをテーマとできないか,候補に考えている。大会については,2月20日前後,京都で開く予定。中身はまだ決まっていない。
- (評)公共図書館職員がぜひ参加したいと思うような内容でお願いしたい。セミナー,シンポジウム,雑誌が自分に役立つという実感がないと勧めにくい。
- (理)研究委員会を中心に検討する。
- (評)決算報告と予算案をみると,決算報告では広告料が47万円とあるが,予算では40万円と減額されている。なぜ40万円となっているのか?
- (理)決算の広告料収入の47万円は,2010年度に『界』に掲載されたもので,料金は後払いとなっている。予算の40万円は2011年度掲載分。2012年以降の確実な収入見通しが立っていない。
- (評)『界』の印刷費について,決算は568万ほどあるのに予算が519万と少ない。雑誌の発行が第一と思うが?
- (理)努力目標として500ページで予算を組んだ。昨年度は470ページの予定が560ページとなった(表紙等を含む)。内容にしわ寄せは困るので,工夫をして総目次・総索引の掲載を取りやめてウェブに移行することにした。その他研究グループ例会等のページ数縮減をお願いすることはあるが,根幹のところは質量ともに落とさないように心掛ける。
- (理)今年度は研究大会で発表のなかった研究グループが例会で報告する例が多くなっている。セミナーも公共向けのもの。図書館協力に絞っているので候補のようなテーマとした。また奨励賞も現場からの報告を対象とするなど,できるだけ手を打っている。
- (理)外部講師を呼ぶこともあるが,研究課題は一貫していると研究委員会では認識。ただし,基本的に自己開発・自己研鑽のためのグループであって欲しいと思っている。来年度の研究助成については監査の指摘を踏まえて立案したい。
- (理)理事会は偶数月に隔月で開催していたが,減らして支障ないかを検討し。6月と8月分を7月にしても大きな支障がないということで年5回開催とし,交通費の節約をしようとしている。
- (評)予算では会員が30名分増えているが,これだけの会員を増やすということか。
- (理)滞納者の入金分を含めている。
- (評)決算の雑収入では,かなり事務所使用料があったようだが,予算額は少なすぎるのでは?
- (理)JLAの震災関連チームが事務所で月1〜2回会議を開催していた。その会議が終了したため収入の見込みがなくなった。
- (評)昨年度の報告で東日本大震災での会費免除があったが,今年度も継続するか?
- (理)昨年度の理事会ではとりあえず1年間と考えていた。今年度は外したが,継続した方がよいということなら検討する。昨年度は3名免除申請があった。団体は1つあったが予算確保できたとして辞退された。
- (評)一般会計予算案の『界』の業者売り上げが200というのは少ないのでは?
- (理)波があるので無理ができない。
- (理)最近公共図書館職員の入会がほとんどいない。あっても館長クラスで数年すると大学教員という人が中心である。現場の職員の入会について知恵があれば聴かせていただきたい。
- (評)新規会員に公共図書館員がいないのは,相当深刻。セミナーに参加していた図書館員が最近出られなくなっている。何故そうなっているのか。図書館員の方にも問題はあるだろうが,企画に魅力がもう一つない面があるような。雑誌も公共図書館のものも出ているが,魅力に欠けているような気がするので理事会でも議論いただきたい。
- (評)特別会計の出版物の印刷費はゼロになっているが,出版物の計画は?
- (理)『図書館資料の目録と分類』の増刷以外は予定ない。研究グループ等から出版したいという話があれば検討したい。新しい本の出版がないと収入が伸びない。
*2012年度事業計画案,2012年度一般会計予算案,同特別会計予算案,同第2特別会計予算案は,いずれも全員賛成で承認。
主要な意見および情報交換
- 1月23日の四国ブロックセミナーは現場職員の声が反映されたセミナーだった。県立図書館は予算が減った。横断検索システムを作ったが人の繋がりがないと動かない。なぜ相互協力するのか,簡単にできることになっていたか,このあたりのことを掴みたいと思ってセミナーを開いた。高知県からも参加があり,徳島の情報をもとに調査会を開いたとのこと。日図研の宣伝もしたので,これを契機に会員が増えればいいなと。またこちらからの問いかけに応援いただければと思う。
- 研究会のプレゼンスを高めるために何をすればよいのかを考えなければならない。情報発信のスピードを高めることもひとつである。『界』の書評ほどしっかりしたものでなくても多くの冊数を紹介する書評をHPに出すとか,海外の書籍の紹介も考えられる。
- 会員名簿はどうなっているか?
- 今冬の役員選挙前に名簿を作る。職場の変更などの情報が届かず古いままの人もある。また住所など公表を望まない情報がある方もいると思うので,事務局にご連絡いただきたい旨会員に伝えていただきたい。
- 沖縄では隣の県のイベントに参加できないので,自県だけで研修する傾向に。学校図書館に司書配置されていて熱心だが講師が限定される。2年前のブロックセミナーのように他府県から来てもらえればありがたい。勉強の機会を求めている。研究会に入って一緒に勉強していければと思う。
- 光交付金について北海道で調査したが,実際にはほとんど分からなかった。読書推進員の採用や資料購入費にという例はあったが全体の状況はわからなかった。また光交付金があるためにと本来の予算が減らされるという状況もある。
- 光交付金は22年度が基本,繰り越しすれば23年度も使えた。小郡でも書架の改造等で使った。23年度から25年度は交付税として措置。図書の購入は対象にならない。図書館の改造などの施設には認められる。今後の継続は分からないと言われている。小郡の場合は特別交付税で,昨年は小学校の調べ学習用図書を200万円買った。今年は中学校用に同額要求し取れた。来年は高校。何とか維持したいと考えている。
- 図書館の関係者が光交付金のことを知らされていなかったという例も多い。
- 名古屋市では司書職制度が危機に瀕している。ここ数年採用試験がない。また最近係長試験を受けようとしない。司書職の係長がいなくなると行政の人が来る。こういうのが司書職制度の究極の姿だったのか。司書の方に問題があるのかどうか悩むところである。
- 大阪府は司書の係長試験はない。上司の評価によって昇格者が決まる。東京都では係長試験に合格すると外にでなけ
- 図書館員は図書館サービスをするサービス業だと学生に説明し,業務遂行は当然と話している。サービスに魅力を持たずにのうのうと給料もらう人だけで済むような図書館で許される環境があるということに怒りを持っていると教えている。
- 神戸市でも採用は少なく,公務員バッシングあるので,仕事自体苦しくなっている。管理職になって更に苦しくなるのは,というのはわかるような気がする。苦しいのは図書館員だけではないが。
- 正規職員の司書は自分だけサボるという職場ではなくなっている。楽にやっていけるところではない。やれない人が希望を出して市役所に代わっていったという例もある。司書がそれだけの仕事をしないで勤まるということはやれない。そんな
- 司書課程で司書はサービス業と伝えている。ただそれで終わるとヒラでいいんだとなる。サービスする先に自ら運営をする,図書館長になる,という風にシフトしていただければ。サービスをやって後輩に伝え,管理職になって運営を考える,こういうところまで教えていただければと思う。
- JLAの認定司書制度を管理職の条件にするとかいろんな形で取り組む必要があると思う。
- 学校図書館の担当職員は文科省の調査では相当数増えている。学校図書館担当職員のために150億の予算がついた。これにより1万人の職員がつくはずだが,専門職が入るかどうかわからない。身分的に不安定になるのは確実。
学習指導要領が変わり,小学校の教科書で図書館が取り上げられ,各教科で読書活動を充実することになっている。中学校も今年から理科社会にも調べ学習が入っているので,図書館に人がいないとできなくなる。養成する側も学校図書館を意識した授業をしていただきたい。
- 本学では選択科目の幅が広がったので学校図書館との連携とか,大学図書館,図書館建築に特化した科目を置いて司書講習の人にもこの単位を取ってもらう制度を作った。毎年100名程が司書資格を取って卒業するが,なかなか就職できない。司書の公務員試験を受ける学生も少なく,公共図書館で実習する学生も少ない。司書講習では派遣会社社員で公共図書館への派
- 大阪府市統合本部会議で,類似重複している業務として,大阪府立・市立図書館の見直しが進んでいる。大阪市については基礎自治体としての区の図書館の見直しが言われている。また市立中央と府立の両方で行われているビジネス支援,郷土資料やレファレンスについて今後の動きが心配である。
出席者
- 《評議員》
- (北海道)渡辺重夫,(東北)なし,(関東)斉藤文男,三浦太郎,(北陸)なし,(東海)田中敦司,山本昭和,(近畿)川崎千加,高鍬裕樹,谷嶋正彦,前川和子,村上泰子,(中国)田井郁久雄,(四国)松村信子,(九州)永利和則,山口真也
出席14人 委任状提出10人 計24人[評議員定数25人,成立要件13人以上]
- 《理事長》
- 川崎良孝
- 《事務局長》
- 前田章夫
- 《理事》
- 狩野ゆき,岸本岳文,寒川登,志保田務,高木享子,竹島昭雄,前川敦子,松井一郎,松井純子,南亮一,山本順一,渡邊隆弘
- 《監事》
- 伊藤昭治
- 《事務局》
- 松井宏
(文責:事務局)