日本図書館研究会評議員会報告
- とき
- 2009年5月30日(日)13:30〜17:00
- ところ
- 京大会館
- 議題
- 1) 2009年度事業報告
2) 2009年度決算報告
3) 2009年度監査報告
4) 2010年度事業計画案
5) 2010年度予算案
6) 会費規定の改定について
- 議長
- 谷嶋正彦氏(大阪信愛女学院図書館)
審議の概要
関東ブロック選出評議員の高浪郁子氏が近畿ブロックへ転出されたため,選挙規定により次点の鈴木由美子氏が繰り上げ当選となったことの報告が,選挙管理委員会(代読西村事務局長)からあった。
川崎理事長の挨拶の後,議長に谷嶋正彦氏を選出して審議を行った。その概要は以下のとおり。
1) 2009年度事業報告
会員の動態は,入会(個人39名,団体3件),退会(個人49名,団体5件)である。2009年度末の会員数は817名で,前年同期より10名の減となった。主な活動として,『図書館界』第61巻1〜6号の発行,第51回研究大会および2009年度図書館学セミナーの実施,『構造的転換期にある図書館』の刊行などである。
2)2009年度決算報告,および3)2009年度監査報告(いずれも『図書館界』62巻1号参照)を提案。
決算報告は事務局長,監査報告は伊藤監事がそれぞれ報告した。
質疑と意見
*(評)は評議員,(理)は理事を指す
- (評)九州ブロックでは毎年のようにブロックセミナーを開催している。いつも九州ばかりというのも心苦しいので,是非他のブロックでも開催してほしい。
- (評)図書館学セミナーは講師の選定がよかった。研究大会シンポジウムでは,後半に特定の話題に集中しすぎたように思う。350号特装版の出版については,索引がつくということを知ったので,積極的に行ってほしい。
- (評)国際交流費が一般会計で8万円,特別会計でも10万円予算化されているがいずれも未執行となっている。どうしてか。
→(理)国際交流費は必ずしも当初に予定しているのではなく,外国から来られた時に使うようにしている予算である。2009年度はそうしたことが何もなかった。また,特別会計の方は国際セミナーがなく,雑誌論文の掲載もなかったので未執行となった。
- (評)組織強化費は入会申込書の印刷だけなのか,何か組織強化のために使っていないのか。
→(理)組織強化費は入会案内パンフレットの印刷にあてられたが,会員拡大のための郵送費などに使うことも必要だと思う。
- (評)特別会計の編集費があまり執行されていないが,『図書館界』の編集費用がもっと必要なのではないか。
→(理)『図書館界』の編集費は一般会計で40万円を予算化している。特別会計の編集費として執行している金額は『構造的転換期にある図書館』の刊行に必要な編集経費である。
- (評)経費の削減が今後の重要な課題であると,監事からの指摘があったが。
→(理)2009年度は会員への直接的なサービスは低下させず経費をいかに安くあげるかに腐心した。雑誌刊行費や原稿料の削減,交通費の見直し,会合費の減額や広告の獲得など努力をしている。現在の会員数を維持してなんとかトントンになるように努力してきた。
*2009年度事業報告,2009年度決算報告および監査報告を全員の賛成で承認。
4) 2010年度事業計画案
2010年度事業計画案(『図書館界』62巻1号参照)を事務局長が説明。
5) 2010年度予算案
2010年度一般会計予算案,同特別会計予算案,同第2特別会計予算案(『図書館界』62巻1号参照)を事務局長が説明。
質疑と意見
*(評)は評議員,(理)は理事を指す
- (評)2009年度の広告料が80万円の予算で55万円しか収入がないが,2010年度予算案でも80万円となっている。それだけ収入の見込みはあるのか。
→(理)2009年度は広告料の未収分があり,次年度になってしまったので,2010年度は80万円程度の収入を見込んでいる。
→(評)こうした収入のずれは今年度だけなのか
→(理)当年度分の収入をその年度に入れるようにしたい。
- (評)日図研のホームページを見たら古い情報が掲載されているページがある。
→(理)情報の更新をしていないページがありご迷惑をおかけしている。修正したい。
- (評JLAの地区別のつどいや学会などで日図研のPRをして入会を勧めることも必要ではないか。上海図書館学会との交流として第7回国際図書館学セミナーが予定されているが,参加者が少ないのでもっと勧誘をすべきではないか。
→(理)国際セミナーにもっと参加者が増えるようにしたい。
- (評)日図研のホームページに入会申込書の書式は掲載されているのか。
→(理)少し前から入会申込書を掲載している。それを利用して申込されている方もすでにおられる。
- (評)予算の収入の部で,団体会員数を420団体としているが,見込めるのか。また,事務所使用料が2009年度の収入額より少ない予算となっているがなぜか。
→(理)2009年度の決算を見ていただくと分かるが,日図研ではその年度に入金されたものをその年度の収入としている。したがって前年の会費や後年のものも含まれている。420団体以上は見込めると思っている。事務所使用料も2009年度決算では前年度分の未収分が入っているため多くなっている。2010年度にはその分がないので少なく見積もっている。
→(評)会費収入はその年度の会員数をベースにして予算化すべきでないか。
→(理)いままでその年度内に入金されたものを会費収入として計算してきた。予算もそれに従って作成している。
- (評)退会が49人となっているが,その退会理由は何か。
→(理)多くの場合は,定年になって図書館を退職するので日図研を退会するというのが多い。
- (評)関東ブロックの評議員の意見にある「『図書館界』の論文電子版の提供につきまして」(後掲)は考えていくべきではないか。
→(理)これについては担当理事によってCiNiiを通じて電子版の提供をすべく手続き等をすすめている。
→(評)すでにそうしたことを進めているのなら,事業報告に掲載して報告をすべきではないか。
→(理)現在手続きを進めている最中であるが,報告に盛り込む必要はあったと思う。
→(理)論文の電子版の提供に当たっては課金のことをどうするかが課題である。
→(評)論文の電子版の提供によってぜひ多くの方に読んでもらいたい。
- (評)この関東ブロック評議員の提案文書には提案者のメールアドレス,住所,電話番号が掲載されており,個人情報保護の点から問題ではないか。
→(理)個人情報の掲載については,内部の会合でありそのまま載せてしまったが,今後注意をしたい。
- 研究委員長より2010年度の研究大会,図書館学セミナー,研究例会について,編集委員長から『図書館界』350号特装版の刊行について,『図書館界』のすべての号を無線綴じにすることなどについて説明。
*2010年度事業計画案は賛成14,保留1,反対0で,また,2010年度一般会計予算案,同特別会計予算案,同第2特別会計予算案は,賛成14,保留1,反対0の賛成多数で承認。
6)会費規定の改定について
昨年の評議員会において,正職員でない人の会費を安くできないか,初年度の会費を安くできないか,会費を6000円にして非正規で働いている人については半額にできないかなど会費についての意見が多く出され,さらに他の団体の実態も調べて検討してほしいとの評議員の意見もあった。そこで今回,理事長より他の図書館関連団体の会費の資料などを示して,(1)学生会員を設ける(会費3000円),(2)現在の個人会員の会費はそのまま維持をし,学生以外の区分は設けない,(3)新入会員には日図研の刊行物を1冊提供するとの提案があった。
質疑と意見
*(評)は評議員,(理)は理事を指す
- (評)850人の会員中,学生会員は何人くらいか。
→(理)10名程度だと思う。
- (評)去年の評議員会で提案したのは,気持ちだけでも安くしてほしいという気持である。詳しい資料を示しての提案であり納得した。監事の意見にもあったが,会員の構成を把握してほしい。
→(理)会費規定の変更なので会則の改正が必要となる。そのため総会を開く必要がある。会員の構成については調査をしたい。
- (評)新入会員に何か本を提供するのなら会費が安い方がいい。また手間もかかるのではないかと思う。賛成できない。
*会費規定改定に関する提案についての採決を行い,賛成12,反対1,保留2で承認。
主要な意見および情報交換
- 地方の会員の場合には研究例会とかに参加もできないので,情報が手に入る工夫(研究委員会のホームページを作るなど)や,ブロックセミナーなど地方の会員が学習できる場が重要だ。
- 四国の県立図書館は軒並み図書費が減っている。その中で,図書館海援隊プロジェクトに参加して活動している図書館もある。市町村レベルでリニューアルが少し出てきている。徳島市立図書館で駅前への移転の話が出ている。
- 鳥取市では合併後の総合計画の見直しがあり,その計画の中に図書館をどう位置付けていくのかが課題となっている。職員の世代交代がすすんでおり,また非正規職員が増えている。さらにシステム更新の時期にきている。
- 東北ブロックで6月にブロックセミナーを開くが,近県からの参加申込もあり,会員増につなげたい。
- 東京23区はほとんどが委託や指定管理者になっている。関東圏でいくつかの図書館に利用者として滞在したが,直営のところでもカウンターで手続きの話はあっても本の話をしているのを見なくなった。貸出の軽視によってこうした状況が生まれているのではないか。
*評議員から文書で寄せられた意見
- 1)「図書館研究奨励賞」につきまして
- 今年度より「透明度の高い,民主主義的で開かれた選考過程」が心がけられたことを評価します。多様な論文が掲載される『図書館界』においては,評価基準も多様である必要性を感じます。そのためには,5名の選考委員のみでの判断は難しく,広く会員に呼びかけたことは,今後も続けていくべきことと考えます。
- 2)『図書館界』の論文電子版の提供につきまして
- 昨年の評議員会の意見にもありましたが,少なくとも会員にはCiNiiなどを通して,掲載論文の電子的提供が行われることを望みます。技術的なことは門外漢ですが,印刷所でいまPDFを作成することは,さして困難とも思えず,改めてスキャンする手間もなく,版下原稿からPDFは作成できるのではないでしょうか?CiNii上で,「会員には無料,非会員には有料」とすれば(そうしている学会も多いと思います),些少ながらも収益もあるのではないかと思うのですが,いかがでしょうか。
出席者
- 《評議員》
- (東北)鈴木史穂,(関東)鈴木由美子,(北陸)参納哲郎,(東海)田中敦司,森下芳則,(近畿)赤瀬美穂,狩野ゆき,田口瑛子,谷嶋正彦,前川和子,村上泰子,薬師院はるみ,(中国)西尾肇,(四国)松村信子,(九州)種村エイ子,永利和則
出席16人 委任状提出7人 計23人
[評議員定数25人,成立要件13人以上]
- 《理事長》
- 川崎良孝
- 《事務局長》
- 西村一夫
- 《理事》
- 飯田寿美,木下みゆき,寒川登,志保田務,¥外字(8a2c)木享子,前川敦子,前田章夫,松井一郎,松井純子,山本順一,渡邊隆弘
- 《監事》
- 伊藤昭治,塩見昇
- 《事務局》
- 遠藤眞次郎
(文責:西村一夫)