日本図書館研究会評議員会報告
- とき
- 2008年5月25日(日)13:30〜16:45
- ところ
- 京大会館
- 議題
- 0) 2007−2008年度役員の補充について
1) 2007年度事業報告
2) 2007年度決算報告
3) 2007年度監査報告
4) 2008年度事業計画案
5) 2008年度予算案
6) 意見交換
- 議長
- 高鍬裕樹(大阪教育大学)
審議の概要
川崎良孝理事長の挨拶の後,議長に高鍬裕樹氏を選出して審議を行った。その概要は以下のとおり。
2007−2008年度役員の補充について
選挙管理委員会の垣口弥生子委員長(代理:西村事務局長)より,役員の補充について報告された。評議員として選出された関東ブロックの山本順一氏,中国ブロックの白根一夫氏がそれぞれ他ブロックへ転出されたため,役員選挙規程及び会則9条に基づき,関東ブロックで坂部豪氏(水戸市立中央図書館),中国ブロックで永井悦重氏をそれぞれ当選とした。
1) 2007年度事業報告
会員の動態は,入会(個人34名,団体2件),退会(個人81名,団体11件)で,個人の退会者のうち35名が会費滞納による除籍である。2007年度末の会員数は870名で,前年同期より47名の減となった。主な活動として,『図書館界』第59巻の発行,第49回研究大会および図書館学セミナーの実施などである。
2) 2007年度決算報告および3) 2007年度監査報告(いずれも『図書館界』60巻1号参照)を提案
決算報告は西村事務局長,監査報告は伊藤監事がそれぞれ報告した。
質疑と意見
*(評)は評議員,(理)は理事を指す
- (評)研究大会やセミナーの会場について。最近は特定の大学で何度も行われているが,会場を同じ大学に固定しているのか。また,今年度の研究大会の会場が寒かったが,事前のシミュレーションなどは行ったのか。
→(理)同じ大学を会場として必ずしも固定しているわけではない。事前準備で2回にわたり会場を確認している。
- (評)研究大会の会場はいい会場だと思った。多少の寒さはあったが,問題となるほどではなかった。
- (評)研究大会では発表本数が多くて,質疑応答がほとんどできていなかった。研究発表の本数やあり方についてもう少し考えてほしい。
→(理)発表の本数など研究大会について,もうすこし検討したい。また,質疑応答の時間は確保したい。
- (評)入会数が少ないということについて。日図研はなじみが少なくて,入ろうという気があまりしないのではないか。『図書館界』や研究大会の内容が現場から離れていく感じが年々している。もう一つは,活動の担い手に若い人が参加していない。以前は40歳代が中心だったと思う。
→(理)『図書館界』への投稿だが,少し前に調べると関西の公共図書館員の投稿が少なく,公共図書館員の奮起を促したい。また,大会の内容については最近の図書館界の動きに即した課題を選んで実施している。
- (評)図書館研究奨励賞の該当作がなかったが,「現場からの提言」についても評価されてもいいのではないか。論文とは違う視点での検討をしていただけないか。
→(理)奨励賞の対象論文として,次年度の選考の中では積極的にとりあげる予定で進めている。
- (評)研究例会での発表をぜひとも論文として掲載するように進めてほしい。
*2007年度事業報告,2007年度決算報告および監査報告を全員の賛成で承認
4) 2008年度事業計画案
2008年度事業計画案(『図書館界』60巻1号参照)を西村事務局長が説明。
5) 2008年度予算案
2008年度一般会計予算案,同特別会計予算案,同第2特別会計予算案(『図書館界』60巻1号参照)を西村事務局長が説明。
質疑と意見
- (評)研究例会の参加人数があまり多くないと聞いている。また,会場や曜日が固定されていて,参加したくてもできない人がいると思う。土曜日の午後とか,京都や大阪駅周辺での開催を検討してはいかがか。
→(理)参加者は結構増えている。最近金曜日に開催する場合が多いが,できるだけ他の曜日もふくめて実施したい。
- (評)ブロックセミナーだが,地方では他の団体との共催などができると開催がしやすい点もある。他団体との共催などができないか。
→(理)地域の各団体と協力しながら開催できればと考えている。
- (評)研究大会やセミナーのシンポジウムのテーマを,図書館法改正問題で実施してほしい。上海市図書館学会との交流である国際図書館学セミナーで,中国の方々を歓迎したい。参加者が多くなることを期待する。
→(理)図書館法改正問題については,現在のところ研究例会で実施する予定である。国際図書館学セミナーは,日本側の発表者もほぼ出揃ってきた。多くの方の参加を目指したい。
- (評)研究大会でのグループ研究発表は,助成金をもらっているので発表しなければいけない,ということで発表されているが,義務的な発表のせいか,内容がよくないものがある。
→(理)研究大会での発表だけではなく,研究例会での報告や『図書館界』に研究成果を書くことでもよいことになっている。
- (評)ブロックセミナーについては地方の団体との共催や協力関係を考慮してほしい。
→(理)各ブロックの事情を考慮しつつ,いろいろな団体と協力して開催する必要があると思う。
- (評)2007年度決算で,「研究助成費」がブロックセミナー1件で約43万円となっている。2008年度予算ではブロックセミナーとして50万円が計上されているが,事務局長の言う「年間2件程度ブロックセミナーを開催」するのは,予算上無理ではないか。
→(理)決算の備考欄には「ブロックセミナー1件」としか記載していないが,これは北海道ブロックセミナー(費用は約18万円)と,研究委員会への助成金である。ブロックセミナーは50万円の予算で2件程度は賄えるので,ぜひ各ブロックから申し出てほしい。
- (評)会費の差別化についてだが,いま非常勤で働く図書館員の状況を見ていると非現実的だと思う。ワーキングプア一歩手前の方がたくさんおられて,いかにして費用をかけずに活動を進めるかを考えているメンバーもいる。
- (評)奨励賞について,再度発言したい。ぜひとも「現場からの提言」をその対象に加えてもらいたい。せっかくの奨励賞を該当作なしにするのはもったいない。
*2008年度事業計画案,2008年度一般会計予算案,同特別会計予算案,同第2特別会計予算案はいずれも賛成多数で承認。
6) 意見および情報交換
- 入会にあたって,例えばお試し入会とかその他いろいろ工夫できることもあるかと思う。また,劣悪な労働条件の方をまきこんでいく活動を進めないといけないのではないか。
- 会費の改定問題は今すぐにはできないが,将来的に検討していただければありがたい。
- 会費についての論議だが,非常勤の方が増えているが,研究会としてこの人たちを対象としているのかいないのか,あるいはこうした人が増えている現状をどう見ているかによる。
- 図書館をめぐる動きや状況に,機敏に呼応した報告や実践が必要だと感じている。
- 学校図書館の実践などで,よい活動をしている人がいる。そうした人にスポットをあてて人を育てることが大事だと思う。
- ブロックセミナーを以前に実施したが,会員を増やすことができなかった。東北地方にも指定管理者制度を導入する図書館がじわじわと増えてきた。
- 北海道の会員も多くないが,『図書館界』のバックナンバーを渡して会員を増やしている。
- 図書館情報学を教える先生方で,現場の仕事をきっちりと教える先生がいないのではと危惧している。
- 委託会社の職員として大学図書館で働いている人が増えているが,そうした人の研修の機会がどれだけ保障されているかが心配だ。
- 大学図書館では,優秀な有資格職員が他の部局へ異動になっている。
- 小郡市立図書館では平成18年度から指定管理者制度を導入したが,今年で3年目となり,見直しの時期に来ている。文部科学省は,平成20年度に学校支援地域本部事業として全国1800か所でモデルを設置する予定で,小郡市でも別の事業と併せて実施する予定で進めている。また,ブックスタートを始めてから5年目になり,来年には初めてこの活動の対象となった子どもたちが小学校へ入学する。福岡女学院大学が子どもの成長とブックスタートについての調査を10ヶ月,1歳6ヶ月,3歳の時点で実施したが,入学前にも調査をする予定で,さらに追跡調査も考えられている。
- 岡山県では財政状況はよくないが,県立図書館にはお金をかけている。県内では民営化や委託はそれほど進んでいないが,かならずしも安心ということはない。
- 滋賀県立図書館では予算が減らされて月・火休館になり,図書費もかなり減らされた。
- 東京三多摩地区でも,次年度には指定管理者制度を予定している自治体がある。
- 香川県立図書館はカウンター委託をしており,雑誌も減っている。徳島県立図書館は,予算が他県よりも多いということで減らされている。高知県立図書館と愛媛県立図書館は,もともと予算規模が小さい。
出席者
- 《評議員》
- (北海道)渡辺重夫,(東北)片野裕嗣,(関東)鈴木由美子,藤村せつ子,(北陸)参納哲郎,(近畿)佐藤毅彦,高鍬裕樹,田口瑛子,田村俊明,土居陽子,深井耀子,前川敦子,松井一郎,明定義人,脇坂さおり,(中国)田井郁久雄,永井悦重,(四国)東條文規,(九州)永利和則
出席19人,委任状提出7人,計26人
[評議員定数26人,成立要件14人以上]
- 《理事長》
- 川崎良孝
- 《事務局長》
- 西村一夫
- 《理事》
- 飯田寿美,北克一,木下みゆき,寒川登,塩見昇,志保田務,竹島昭雄,呑海沙織,前田章夫,松井純子,山口源治郎,渡邊隆弘
- 《監事》
- 伊藤昭治
- 《事務局》
- 遠藤眞次郎、塩見富江