TOP > 大会・研究会等 > ブロックセミナー > 2017年度 > / Last update: 2017.7.8
日 時:2017年2月12日(日)10:00〜16:00 場 所:鹿児島県立鹿児島図書館 テーマ:すべての人に読書の喜びを 参加者:約110名 4月に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」を基に, 障害のある利用者へのサービスのあり方を公共図書館,特別支援学校を中心にした事例から考える セミナーであったため,鹿児島県の内外を問わず,公共図書館,学校図書館の関係者約110名の 参加があった。 午前中は,まず,松田ひとみ氏(鹿児島県立鹿児島聾学校・聴覚支援教諭)が「一人ひとりのニー ズに寄り添う図書館づくりを目指して」と題して,司書教諭として取り組んだマルチメディアDAISY 図書を活用した授業や発表会で感じられた電子書籍の有効性と可能性を述べた。 次に,矢部剛氏(伊藤忠記念財団電子図書普及事業部長)が「新しい読書スタイルの提案」と題して, マルチメディアDAISY図書を作成するようになった経緯や製作時の苦労話を交えながら,マルチメディ アDAISY図書の学校や公共図書館での活用と普及を呼びかけた。 三番目に,木原正雄氏(キハラ株式会社マーケティング部次長)が「図書館における合理的配慮」と 題して,ディスレクシアなど読書に障害のある人のために読書補助具として開発したリーディングト ラッカーにまつわる話をするとともに,参加者全員にリーディングトラッカーを配布して,その使い 方と有効性を実感してもらっていた。 午後からの基調講演では,嶋田学氏(岡山県瀬戸内市民図書館長)が,本セミナーのテーマである 「すべての人に読書の喜びを」について講演した。嶋田氏がこれまで経験してきた図書館利用者との 交流の中で育まれた「図書館の使命」,「読書とは何か」という考え方を基にして,瀬戸内市で取り 組まれている「もちより・みつけ・わけあう広場」としての新図書館像について語った。その中で, 「サービスが届きにくい人びと」,「図書館に行けるけど,利用しない人々」を取り上げて,それら の人々の生きている地域にいかに働きかけていくか,地域社会に出ていくかということの大切さを述 べた。 今回は,様々な立場のお話を伺うことができて,参考となることも多く,参加者も満足したようであ った。これからも,九州各県で図書館が抱えている今日的な課題を論議するような研修会が開催され ることで,それぞれの図書館の活動が活発になることを期待している。 鹿児島県内の図書館関係者の皆様には多大なご尽力とパワーをいただき九州ブロックセミナーを無事 に終えることができましたことに感謝申し上げます。 (文責:永利和則 福岡女子短期大学)