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日本図書館研究会 九州ブロックセミナー報告


日 時:
2004年9月20日(月・祝)10:30〜16:00
会 場:
熊本県横島町公民館大研修室
講 師:
明定義人氏(滋賀県高月町立図書館長,日本図書館協会常務理事・「子どもの読書活動推進計画策定」の推進検討チーム委員長,児童図書館問題研究会滋賀県支部事務局長)
永井悦重氏(岡山市立御南中学校司書,元・学校図書館問題研究会代表)
テーマ:
「学校図書館と公共図書館の課題と連携」

報告

 2004年9月20日(月・祝)午前10時30分から午後4時まで熊本県玉名郡横島町公民館大研修室で開催された九州ブロックセミナーには,九州各県から約70名の参加者がありました。

 まず,志保田務理事のあいさつの後,種村エイ子評議員がこの研修会のテーマを説明しました。今回は,(1)学校図書館改正後の司書教諭の配置,(2)子どもの読書活動の推進に関する法律,(3)市町村合併の三つの点で,学校図書館を取り巻く環境が急激に変化するなか,「学校図書館と公共図書館の課題と連携」をお二人の講師のそれぞれの立場から明らかにしていただこうという趣旨でした。

 午前中は,滋賀県高月町立図書館長の明定義人さんが,公共図書館の立場から学校図書館との連携のお話をされました。高月町立図書館では,教職員をターゲットにした選書や蔵書構成に力を入れていることや,学校への配本,教職員からの相談にも積極的に取り組んでいる事例の報告がなされました。ただ,近隣町村との合併後の不安や学校司書が配置されていないことの悩みも伺いました。

 昼食後は,横島町公民館と同じ敷地内にある横島町民図書館の見学会が催され,同図書館司書の内村敏弘さんが館内の説明をされ,見学者の質問に答えました。この図書館の大きな特徴は,隣の横島小学校の空き教室を改装し,公共図書館としてオープンしたことです。

 午後からは,岡山県岡山市立御南中学校司書の永井悦重さんが,学校図書館の立場から公共図書館との連携について話をされました。冒頭に子どもたちの知的好奇心が薄れてきている様子が気になっていると述べられました。また,学校図書館を利用した「総合的な学習の時間」や「調べ学習」の進んだ取り組みの事例が紹介されるとともに,市民と共に子どもたちの読書環境を豊かにしようと今年8月に開催した「第1回おかやま絵本原画祭」のことが詳しく説明されました。

 お二人の講演の後,終了までの1時間は,会場の参加者と講師との質疑応答から成るパネルディスカッションを行いました。長崎県内の学校の先生からは,学校司書が配置されていないなか,公共図書館の職員に来てもらい読み聞かせやブックトークを授業で行った事例が紹介され,今後このことを他の学年まで広げて学校全体で取り組もうとする際のアドバイスを両講師にお尋ねするなど,活発な意見交換がなされました。

 最後になりましたが,横島町の教育長さんからは参加者全員に横島町名産のいちごのお菓子をお土産にいただいた上に,会場の提供や準備から当日の昼食や湯茶の手配まで横島町教育委員会の全面的なご協力をいただきました。また,当日の受付や書籍販売をしていただきました横島町の内村さんと植木町の橋本さんに感謝を申し上げて報告といたします。

(永利 和則)