伊藤昭治・山本昭和 編著
『公立図書館の役割を考える』
2000.2, 251p, 22cm
ISBN4-930992-13-3, 本体価格 2000円
概要
本書は、日図研「読書調査研究グループ」のメンバーが、日頃公立図書館の現場で疑問を感じることに対し、反論・説得を試みた本である。現場で働く図書館員を対象に、おかしな意見に惑わされないことを願って執筆した。
第1章では、日頃図書館関係の図書や雑誌論文、図書館の研修会や仕事の現場で実際に見受けられる誤った意見を紹介したものである。読者の中には、どこが誤っているのかと疑問をもつ人もいるかもしれない。また誤っていると思っても、どう反論すればよいのか悩む人もあるだろう。第1章では、これらに対する反論を簡単に紹介した。
2章以降で、これらに対する批判、なぜおかしいかを詳しく論証する。
目次
- まえがき
- 第1章 こう考えているうちは公立図書館の発展はない --発展を阻害する誤った意見--
- 第2章 良書厳選主義を克服する --子どもにも知る自由を--
- 第3章 こういう図書館もある --ボルチモア郡立図書館の図書館経営--
- 第4章 公立図書館は何をめざすか --ボルチモア郡立図書館をめぐる論争から--
- 第5章 図書館利用の実態を知る --何から始めるべきか--
- 第6章 図書館経営論で学んできてほしいこと --どのような図書館にすべきか--
- 第7章 もっともらしい幻想に惑わされないために
- 「自動貸出機はプライバシーを守る」という幻想
- 「24時間開館」という幻想
- 「全国の図書館が購入してくれたら」という幻想
- 第8章 公立図書館の役割を考える
- 公立図書館に静寂さは不要である
- 資料費は効率よく使わなければならない
- 収集方針は予約を断るためにあるのではない
- サービスはすべての住民を対象としなければならない
- 蔵書は住民の資料要求を反映したものでなければならない
- 蔵書の善し悪しは貸出冊数となってあらわれる
- 資料保存機能はすべての図書館に必要ではない
- 図書館員のプライドで本を選んではならない
- 図書館は「良書」「悪書」の判断をくだすところではない
- 蔵書は利用されるかどうかが問題である
- 相互貸借は過剰サービスではない
- 電子図書館機能は貸出しの土台のうえに発展させる
- 図書館の自由は日常的に考えておかなければならない
- 官僚型の思考に屈服してはならない
- あとがき
- 執筆者一覧
- 索 引