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《論文抄録》
『図書館界』72巻6号 (March, 2021)

毛利宮彦と「簡明十進分類法」

藤倉 恵一

 日本図書館学草創期の要人の1人でありながら今日顧みられることの少ない毛利宮彦は分類法との関わりも深く,「日本十進分類法(NDC)」第1版とほぼ同時期となる1929年8月に「簡明十進分類法」を発表した。これは鈴木賢祐の批評を受け標準分類法論争を招く端緒となった。また,毛利はその後二度にわたってこの分類法を改訂・刊行するかたわらでNDCを批判し続けた。簡明十進分類法(簡明十進分類表とも)は簡略な記号法ながら国内刊行書を主な対象とし,書架分類を目的とする単純な記号で構成した分類法であった。

(ふじくら けいいち 文教大学越谷図書館)