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《論文抄録》
『図書館界』71巻3号 (September, 2019)

占領期公民館構想における図書館の位置づけに関する批判的再解釈

吉田 右子

   本稿では公民館設置の基点に立ち戻り,公民館を発案した寺中作雄の言説を中心に,公民館構想における図書館の位置づけを検討した。占領期公民館構想においては既存の図書館との関係や公民館内の資料提供サービス機能が提示されつつも図書館界と公民館界による領域横断的な議論はなされず,両者の一体的運営に向けた方向性は示されなかった。両者の関係性は図書館と公民館での個別的連携にとどまった。個別法を持つ図書館と社会教育法に規定された公民館の制度上の複線構造により,図書館と公民館は分離して論じられ今日に至っている。

(よしだ ゆうこ 筑波大学図書館情報メディア系)