TOP > 『図書館界』 > 71巻 > 5号 > / Last update: 2019.12.28
本論文では,1950年代から60年代のアメリカ図書館協会の公立図書館基準の展開を明らかにする。特に量的基準に関する論点や価値判断に焦点を当て,基準の成立過程,系譜,環境を重視した。検討の結果,1956年の『公立図書館サービス』は,基準の対象のみならず量的基準の観点でも,画期となるものであった。当該基準を起点とする一連の基準群では,量的基準が質的基準に規定され,段階的な数値設定や図書館費の最低額を提示しないという特徴があった。長期に渡る論点であった小規模公立図書館の扱いが,より鮮明に争点化されるようになった。
(ふくい ゆうすけ 京都大学)(かわさき よしたか 京都大学名誉教授)