TOP > 『図書館界』 > 70巻 > 5号 > / Last update: 2018.12.28
戦後,自動車による移動図書館として国内で早期に巡回を開始した高知県立図書館の自動車文庫を対象に,戦前期における巡回文庫との連続性を踏まえながら,巡回開始の経緯や背景を実証的に分析した。その結果,同館の自動車文庫は,戦前期から積み重ねられた巡回文庫を基盤に,町村の建設を進める青年団の活動を媒介としながら戦後期に引き継がれ,高知県独自に成立したことが明らかになった。加えて,青年団の基盤となる活動の一つとして,青年教育の役割も併せ持ちながら,町村の自治振興の担い手を育む使命を背負っていた。
(いしかわ たかし 十文字学園女子大学)