TOP > 『図書館界』 > 69巻 > 6号 > / Last update: 2018.2.25
1890年代は,クリーヴランド(1890),ミネアポリス(1889)が大都市公立図書館での開架制に先鞭をつけ,開架制が図書館界に受容される時期であった。ただし両館ともに開架制を視野に入れて構想された建物ではなかった。また開架制論議はもっぱら開架制の経済性や効率性といった実務面を強調していた。本稿はこうした思想と実践に転機をもたらした,バッファロー(1897),プロヴィデンス(1900)の開架制を取り上げる。とりわけ前者の「精選書架」,後者の「スタンダード文庫」に焦点を当てるとともに,両館の図書館活動全体と開架にたいする思想との関連を追及する。
(かわさき よしたか 京都大学名誉教授)