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《論文抄録》
『図書館界』69巻6号 (March, 2018)

アメリカ図書館協会『戦後公立図書館基準』(1943年)の成立過程:量的基準を中心に

福井 佑介,川崎 良孝

 本論文は,アメリカ図書館協会による初めての本格的な図書館基準である『戦後公立図書館基準』(1943年)の成立過程を明らかにする。1920年代から基準の作成が始まり,1921年の評議会決議と「公立図書館基準」(1933年採択,1938年改訂)を経て,『戦後公立図書館基準』に至る。そこでは,サービス人口1人当たりの図書館費1ドルという量的基準が重要な論点であり続けた。小規模コミュニティの公立図書館にとって,この基準が過重負担になることを受けて,行政枠の拡大を求める点も共通していた。この対処法は後の基準でも争点になるものであった。

(ふくい ゆうすけ 京都大学)、(かわさき よしたか 京都大学名誉教授)