TOP > 『図書館界』 > 66巻 > 6号 > / Last update: 2015.3.6
本稿は図書館資料および図書館史研究でマイノリティとしての扱いを受けている日刊新聞を取り上げる。特に19世紀後半に考察を絞り,アメリカ公立図書館での新聞の扱いを全体的に示すとともに,ボストンおよびシカゴでの扱いを図書館年報などを用いて解明する。その結果,図書,雑誌とともに,新聞は図書館が当然に扱うべき資料であるが,日刊新聞の提供は問題とされたこと,日刊新聞の提供の是非は階級と密接に結びついていること,さらに図書館の建物の空間配置にも具体的に結びついていることが明らかになった。
(かわさき よしたか 京都大学大学院教育学研究科、かわさき ともこ 大阪大学大学院文学研究科博士課程・日本学術振興会特別研究員)