TOP > 『図書館界』 > 64巻 > 6号 > / Last update: 2013.3.17
図書館を取り巻く社会環境や,図書館情報学を取り巻く学問の状況を鑑みれば,図書館の価値と外部の価値との関係性を論じる枠組みの必要性が想起される。本稿では,そのような枠組みの提示を視野に図書館の倫理的価値を検討した。まず,歴史的展開をもとに,図書館の倫理的価値として一貫して表明されてきたのは利用者の知る自由の保障であることを明らかにした。次に,価値の対立にあって当該価値に設定される限界を,原則に依拠した例外という視点から検討した。そして,図書館の価値と外部の価値との関係性から倫理的な枠組みを提示した。
(ふくい ゆうすけ 京都大学大学院教育学研究科)