TOP > 『図書館界』 > 63巻 > 4号 > / Last update: 2011.11.18
本稿は,日本の学校図書館について,アメリカで注目されている「場としての図書館」研究を導入し,実証的な検討を行った初めての試みである。学校図書館という場を包括的,多元的に考察することによって,子どもたちの学びや学校生活の中で果たすべき場としての学校図書館の役割と機能の一端を示すことを目的とする。先行研究として塩見の「ひろば」論などをふまえた上で,オールデンバーグの「第三の場」を主要な概念的枠組みとして採用し,検討する。そして,学校図書館が「第三の場」の空間を包摂しうることを実証的に明らかにした上で,その教育的意義を,ボルノウの教育論,パットナムの社会関係資本論,生涯学習論に基づいて提示する。
(くの かずこ 京都大学大学院教育学研究科)