TOP > 『図書館界』 > 63巻 > 3号 > / Last update: 2011.9.4
図書館と知的自由は通常,利用者の権利として語られる。本稿ではあまり注目されてこなかった図書館員の専門職の権利としての知的自由に焦点をおき,図書館員の職場での知的自由の有効性とそれを可能にするアメリカ図書館協会の支援体制について,1960年から70年代のアメリカの実例をもとに検証した。この時期協会内部は知的自由の実際的な防御について立場が分かれ,結束のない状態であったことを明らかにした。また,協会は専門職の根本理念である知的自由を防御する機構の構築の難しさを自他ともに確認することになったことを指摘した。
(あさと のりこ ハワイ大学図書館情報学科)