TOP > 『図書館界』 > 61巻 > 1号 > / Last update: 2009.5.17
本稿は建築史研究者で文化景観学,子どもの空間,図書館建築などに関心を持つアビゲイル・ヴァンスリックの図書館史研究を研究史的に取り上げたものである。本稿では代表作『すべての人に無料の図書館』を含めて,ヴァンスリックの研究の特徴を2つの側面から明らかにした。従来の図書館建築史研究やカーネギー図書館の研究史の中での斬新さと特徴,および図書館というスペースに注目しての女性や利用者からの視点による図書館の捉え返し。そうした特徴を指摘しつつ,いっそう盛んになってきている「場としての図書館」への歴史的研究の貢献の可能性と,この視点の重要性を指摘した。
(よしだ ゆうこ 筑波大学図書館情報メディア研究科)
(かわさき よしたか 京都大学大学院教育学研究科)