TOP > 『図書館界』 > 61巻 > 4号 > / Last update: 2009.11.3
本研究の目的は,大村はま(1906−2005)による,戦後初期に公立中学校で実践された『二C読書新聞』の分析の他,昭和20年代の,大村による他校での「実践報告」の検討などを通して,大村の読書指導観を考察することにある。
大村は生涯にわたり国語教育者として,学習者主体の単元学習を実践した。昭和24年度,東京都目黒区立第八中学校において,2年生に『二C読書新聞』を作らせるという国語科の授業を行った。この実践は,読書指導の一環として行われたものであるが,戦後初期の新教育運動において,単元学習の方法を採り入れながら,読書新聞作りという言語活動を通して,生徒の主体的な読書を促すとともに,自らの読書生活を創造させようとした先進的な実践として意義づけられる。
(いない たつや 筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期課程)