TOP > 『図書館界』 > 57巻 > 5号 > / Last update: 2006.3.12
本稿はアメリカ図書館協会史上もっとも論争の的になった『公立図書館へのアクセス』(Access to Public Libraries, American Library Association, 1963)を取り上げ,社会的背景,図書館状況の全体を視野に入れ,本報告書の作成過程,報告書をめぐる論議を整理している。アメリカ図書館協会文書館の資料や新聞記事を駆使して論述を進めているが,この報告書についてはしばしば指摘されながらも,研究が深められていないのが実情である。
結論的には,『公立図書館へのアクセス』は制度的な人種隔離の問題から,実態としての人種隔離の問題に移行する転機をなすとし,それがさらに広範なアウトリーチ・サービスに連なっていくと結論する。
(かわさき よしたか 京都大学大学院教育学研究科)