TOP > 『図書館界』 > 56巻 > 1号 > / Update: 2004.5.1
本論は,専門職に関する基礎的研究を,司書という文脈において再検討し,司書職制度実現の阻害要因を探る試みである。
司書は,専門職ではなく,準専門職であるといわれてきた。だが,準専門職の特徴,中でも,専門職化を阻むとされる要因は,司書に対しては,必ずしも該当しない。司書の専門職化を阻んでいるのは,図書館という組織に所属することでもなければ,図書館が官僚的に組織されていることでもない。
問題は,図書館が自律的な官僚的組織として形成されておらず,全体機構に組み込まれた下部組織としてのみ存立している点にある。
(やくしいん はるみ 京都大学大学院教育学研究科)