TOP > 『図書館界』 > 56巻 > 4号 > / Update: 2004.11.28
学校図書館の制度的黎明期である戦後初期に,学校図書館を活かした教育実践をさす用語としてよく使われた「図書館教育」は,1960年代初めに「学校図書館の利用指導」にとって代わられ,姿を消す。
ところが,子どもたちが自ら考え,自ら学ぶ学校への転換が強調される1990年前後からの教育改革の動きを受けて,学校図書館への関心が高まる中で,学校図書館の教育的意義を「図書館教育」として表現することが目立っている。この用語の消長には,学校教育と学校図書館との関連性の反映がうかがえる。
いま,「教育としての学校図書館」像の理論的・実践的な構築に向け,改めて「図書館教育」概念の復権を提起する。
(しおみ のぼる 大谷女子大学)