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公共図書館でも最近インターネットによる蔵書検索を公開するところが増えてきた。インターネットによる蔵書公開は,公共図書館ということもあり,設置自治体の利用者,住民向けというのが主目的であろうが,インターネットの性格上,日本全国(あるいは世界中)どこからでも検索が可能である。
公共図書館で仕事をするものにとって,とりわけ,予約・リクエストを担当するものにとって,公共図書館の蔵書公開が増えることは非常にありがたいことである。リクエストされた資料が購入して提供できない場合,その資料を所蔵する図書館を探し出すことには大変な時間と労力を要していた。公共図書館では,冊子形態の蔵書目録を作成・配布している館はそれほど多くないため(ほとんどが都道府県立図書館),目録で調べることができない館については,一館ずつ電話やFAXで問合わせて確認をするというのが,どこの図書館の予約・リクエスト担当者もやっていることではないだろうか。
予約・リクエスト処理の現状を考えると,比較的簡単な操作で,資料の所蔵館を探し出せるようになったことはうれしいことであり,リクエストされた資料をできるだけ早く利用者に提供するためにも,これから大いに利用していきたいと考えている。
翻って,相互貸借の手続き面はどうだろうか。確かに,簡単な方法で申込める図書館は,以前に比べると多くなっている。しかしながら申込みに際して,いろいろな制約がある場合がまだまだあるのではないか。電話での受付けをしない館,申込み時に決まった様式でないとだめな館,館長印(公印)が押してないとだめな館,郷土資料は貸出さない館,雑誌は貸出さない館,借り受けできた場合でも,館内閲覧の指定がやたらと多い館など,あげればキリがない位,様々な利用上の制約がまだまだ存在するのではないだろうか。
また,所蔵館の調べ方についても,おかしいと思うルールがある。自分の館に所蔵していない場合は,まずその館の都道府県内の図書館を調べ,なければ,各地域ブロック,それから,他の地域ブロックを調べる。段階的に調査の範囲を広げていく方法である。一見,合理的にも見え,当然都道府県内,地域内の所蔵調査が容易にできる仕組みをそれぞれの地域が作り上げていく努力はしなければならないと思うが,現状をみると,都道府県内,地域ブロックの調査を行うには大変な時間がかかる地域がまだまだ多いのではないだろうか。
予約・リクエスト担当者が,利用者から要求された資料を,熱意をもって探し出そうとすればするほど,このルールが足かせになって,利用者への提供が遅くなっているとすれば,考え直さなければならないルールである。
インターネットで蔵書公開をしている館には,それぞれ言い分があるだろう。公開は,市民(利用者)向けに行っているもので,他の図書館向けに行っているものではないと。しかし,現実の使われ方として,特に蔵書が充実した図書館が蔵書公開をすれば,直接の利用者だけでなく,全国の図書館からの利用が多いのではないだろうか。
IT化が進み,今後もインターネットによる蔵書検索の公開を行う図書館は,急速に増えてくるものと考えられる。これから,蔵書公開をしようと考えている図書館には,利用するのは,市民(利用者)だけでなく,全国の図書館ならびに図書館利用者もいることを念頭において,他の図書館から申し込みがあった場合どう対応するのか,検索の容易さとともに,市民,図書館を問わず,利用手続き面での見直しを是非やってもらいたいと思う。
私の所属する図書館でも,インターネットによる横断検索システムを構築しようかという話が持ち上がっている。その議論の中で,一律に全館検索をするのではなく目的に応じて検索対象館をグルーピングしてはどうかという話になり,市町村の図書館が調べやすいように,借受け手続きが簡単な図書館グループと借受け手続きが面倒な図書館グループに分けたらいいんじゃないかという話が出たことがある。 この話が,笑い話ですませられるよう願っている。
(くにまつ かんじ 理事・滋賀県立図書館)