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《論文抄録》
『図書館界』51巻3号 (September 1999)

図書館資料のなかの個人情報の保護

福永 正三

図書館は、国民の知る権利を日常レベルで現実化する社会的装置である。ここでは、図書館資料は自由に開示されることが求められる。他方、図書館資料の中で知られたくない個人情報を暴かれる者がおり、この被害者にはプライバシーの権利が保障されている。ここでは、図書館資料の非開示が求められる。
この人権間の衝突、あるいは公益と私益の対立をどう調整すべきだろうか。保護の対象となるべき個人情報とは何なのか、資料の性質や館種によって保護範囲は違うものなのか、それはどんなルールに準拠して、誰が決めるのか、等が論じられなければならない。