TOP > 『図書館界』 > 50巻 > 4号 >

《コラム http://wwwsoc.nacsis.ac.jp/nal/》
『図書館界』50巻4号 (November 1998)

日図研ホームページと著作権
−あるいはアクセスについて−

松井 純子

先ごろ、『界』創刊50周年記念事業の一つとして、日図研会員の実態調査が実施された。多くの会員の方々にご協力いただき、編集委員の一人として、まずお礼申し上げたい。
また、日図研ホームページに関する調査項目も含まれているので、それを手がかりにさらに改善・充実できればと願っている。なにしろ、会員の方々の要望を直接知ることができる貴重な機会なのだから。

ところで、ホームページの充実ということでまっ先にあげられるのは、いうまでもなくコンテンツ(内容)の充実であるが、近年、このネットワーク上の情報に対する著作権問題に課題が生じている。
日図研ホームページの中身は、基本的に『界』掲載原稿を元に作られているので、『界』に掲載の内容をホームページに載せることについても、これまでの著作権運用の範囲内と考えられてきた。しかし、周知のとおり昨年6月著作権法が改正され、ネットワーク上での著作物の提供についても「公衆送信権(送信可能化)」が認められ、著作権の保護対象となった(改正著作権法は本年1月1日施行)。
したがって、ホームページに掲載される内容は、従来の紙媒体による著作権とは別個に、ネットワーク上にアップロードした時点で著作権が発生する。つまり、厳密には「座標」や論文など個々の執筆者に対してホームページ掲載の許諾を得る必要が出てくる。
これまで日図研は、執筆者に対し著作権の「譲渡」を求める(例えば「掲載論文の著作権は△△学会[または研究会]に帰属する」という表現)のでなく、「著作権は著作者に帰属する。ただし、著作権の運用については、本研究会が代行する」(「『界』投稿規定」)という方針で対応してきた。しかし今後は、インターネット上へのアップロードをも含めて、著作権運用の了解あるいは著作権の譲渡を求めていかなければならない。たとえば、ある執筆者が『界』に掲載されたものと同一の論文を自分のホームページに載せたいと思った場合、日図研の承諾は必要なのか、また、日図研ホームページに掲載されている情報をコピーして別のホームページに転載したい場合、著作者の許可は必要なのかなど、様々な場合を想定してホームページを管理・運用する必要がある。

ただ、日図研に限らず、ネット上で情報を公開するということは、公開することで学問や社会の発展に寄与するという視点が重要なのはいうまでもない。特に、学術研究団体として研究成果を公表し、意見や批判を仰ぐことは欠かせない。これに足枷をはめるような方向で著作権を運用することはさけたいと思う。
基本的には、情報を利用する側の認識が最も大切であろう。

ところで、日図研ホームページへのアクセスのしやすさ、間口の広がりという点はどうなのだろう。日図研ホームページへアクセスするには、URLを入力して直接アクセスする方法と、サーチエンジンでキーワード検索をする、主題別ディレクトリをたどる、などの間接的方法がある。
実は、お気付きの方も多いと思うが、最も代表的なサーチエンジンであるYahoo!で「日本図書館研究会」と入力、検索してもヒットしない。他にも、あちゃらNAVIもヒットしなかった。ただ、NTTディレクトリは、ホームページを開設して間もない頃に登録しておいたため、1件ちゃんとヒットしたのにはホッとした。他のサーチエンジンでは、最も少ないgooで86件、infonaviで196件、多いものでexciteが431,288件、infoseekに至っては1,259,354件という件数であった(いずれも9月17日の調査)。もちろんexciteやinfoseekでヒットしたものの大部分は日図研ホームページと直接関係のないものである。その意味では、gooやinfonaviの方がノイズが少なく、日図研ホームページに到達しやすい。
用いるサーチエンジンの種類によって検索結果が異なるのは当然だが、Yahoo!のように一般の利用頻度の高いサーチエンジンでヒットしないようでは困る。会員はもちろん非会員の方も幅広くアクセスできるよう、環境を整えておくべきであったと思う。
また、外部から日図研ホームページへのリンクも、もっと推奨されてよい。複数のサーチエンジンを使って日図研に張られているリンクの件数を検索したところ、最も多いAltaVistaで42件であった。 

日図研ホームページに確実にアクセスしてもらうことは、一見簡単なようでいて、案外難しい。                    

(まつい じゅんこ 大阪芸術大学)