《論文抄録》
『図書館界』50巻5号 (January 1999)
公立図書館司書に必要な基礎的能力
−司書の資質論から−
薬袋 秀樹
すぐれた司書になるには,司書資格や図書館情報学の専門的知識だけでなく,日常的な関心,理解,態度,行動等の基礎的能力が必要である。これらはこれまで司書の資質として論じられてきた。
本稿では,1960年代から90年代までの司書の資質に関する見解10点を分析し,調査研究や管理業務の観点がなく,組織と社会の分野の能力が欠けていること等を指摘し,新たに,図書館業務の根本理解と「周囲の人々との理解と協力による組織の運営」「社会,地域・自治体,市民生活の理解」などの基礎的能力10項目を明らかにした。